世界から賞賛された「韓国」の新型コロナ対策 「この時期、韓国にいて良かった」という日本人も
世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、4月7日に日本でもついに緊急事態宣言が発令された。感染者はすでに3月から急増し、日本医師会は医療の危機的状況を表明していた。政府の対応は遅きに失した感が否めない。
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一方、お隣の韓国は3月3日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「ウイルスとの戦争に突入した」と宣言。欧米諸国は韓国の徹底した防疫対策を称賛し、米国ニューヨーク・タイムズ紙は「新規感染者数を抑えることのできた数少ない国」と評価した。
4月に入ってからは感染拡大のペースが徐々に落ち、今の状況は15日に総選挙を迎える文在寅大統領の追い風となっているようだ。
1ヶ月前、日本では「韓国とイタリアは検査数だけ増やし、医療崩壊に結びついた」との報道もあったが、韓国を取材する限り、そんな声は聞かれない。医療崩壊している様子はなく、現地に住む日本人も「韓国で医療崩壊」という日本メディアの報道に首を傾げていた。
医療設備や医師、看護師が圧倒的に少ないイタリアと違い、韓国では医療崩壊が起きるどころか、「検査」と「感染者の追跡」を徹底し、封じ込めようとしている。
むしろ「今この時期、日本じゃなく韓国にいてよかった」と口にする日本人さえいるほどだ。
「韓国で医療崩壊」は嘘!?
「韓国で医療崩壊」と報じられた根拠は2月18日に大邱(テグ)市で発覚した宗教団体「新天地イエス教会」の集団感染だった。このとき宗教団体から31万人もの信者の名簿が提出され、政府は対象となる9万4千人の信者の検査と追跡を行ったのだ。
当然、陽性患者は急増し、その数は3千人にものぼった。こうした韓国政府によるPCR検査によって病院のベッド数が足りなくなり、入院待機中の患者が死亡したのも事実だ。
日本ではこれが「医療崩壊」のように報じられたが、この教訓から韓国政府は迅速な対応を見せている。それまで感染者全員を入院させるとしていたが、3月1日には軽症者については病院とは別の隔離施設「生活治療センター」に収容すると方針転換したのだ。
「生活治療センター」はサムスンやLG、現代自動車等の財閥が施設を提供したほか、公共施設などを突貫工事で改装し、軽症者を受け入れる隔離施設を完成させた。
軽症者はバス・トイレ付きの個室に収容され、3度の食事付き。医師または看護師も常駐しており、食事は個室に運ばれる。
感染者数がピークに達すると、さらに軽症者には「自宅療養」も加わった。
「自宅療養」となった人には自治体から生活必需品をそろえた“自宅隔離セット”が無料で提供される。中身はレトルトご飯、インスタント麺、水といった食料品から、歯磨きセット、石鹸、トイレットペーパー、ウェットティッシュ等の衛生用品までそろっている。また、市の職員が訪れ、検温チェックもあるという。
日本がろくにPCR検査を行わず、少しずつ感染者を増やしていた頃、韓国では積極的にPCR検査を行いながらこうして医療崩壊を防いでいたのだ。
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