富川キャスター感染 「接触を8割減に」を訴えるテレビの欺瞞
「報道ステーション」の富川悠太キャスターの新型コロナ感染の報は、衝撃をもって受け止められた。毎日同番組を見ていた視聴者にとっては、まるで知り合いが感染したように感じられたのではないだろうか。他方、取材先との接触があり、対面での打ち合わせが多く、スタッフも多いテレビ局の労働環境の危険性を指摘する意見も従来から無かったわけではない。
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実のところ、画面の裏側もさることながら、表側においても十分に対策が取られているかはいささか怪しい。緊急事態宣言発令の直後、4月8日をサンプルに主要なニュース番組を検証してみよう。
緊急事態宣言を受けて、8日の「ニュースウオッチ9」(NHK)は、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長である尾身茂氏をスタジオに招き、現状の分析、今後の展望と注意点を語ってもらっていた。キャスターの問いかけに答えて尾身氏が強調していたのは、「人との接触を極力減らしてください。8割減にすれば収束は可能です」というメッセージだ。これはこのところ専門家会議、あるいは安倍総理が繰り返しているメッセージなのは誰もが知るところだろう。
「8割減」を実現すべく、テレビ各社も対応している。レギュラーコメンテーター、時にはメインキャスターがリモート出演する姿も珍しくなくなった。
が、改めてニュースウオッチ9を見ると、不思議なことに気づく。尾身氏や出演者は申し訳程度に距離を取って話しているが、特に出演者は減っていない。男性アナウンサーと女性アナウンサーは通常通り出演しているし、「お天気お姉さん」もその場にいる。終盤に駆け込んでくるスポーツ担当のアナウンサーも相変わらず元気そうだ。
百歩譲って、尾身氏は生出演することでメッセージに説得力をもたせるという意味はあったのかもしれない(それでもリモート出演も可能だろうが)。しかし、その他のレギュラー出演者にどの程度の意味があるのだろう。
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