「志村けんさん」の遺族はなぜ火葬場に行けなかったのか 東京だけの特別な事情とは

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軍が遺体を火葬場に運ぶ

 感染防止対策がきちんと行われていれば、葬儀も通常通り行うことが可能だ。

「普通、火葬は、亡くなってから24時間以上経ってから行われます。コロナの感染で亡くなった場合は、24時間以内に火葬をすることも可能です。遺体は、非透過性の納体袋に入れて密閉し、納体袋の表面を消毒すれば、遺族でも遺体を搬送することができます。遺族の意向があれば、通常の葬儀も可能となります。現に、横浜市と相模原市では、コロナで亡くなった人の葬儀を行っています。ただし、柩を開けて拝顔、花入れすることはしていません。会葬者数が少なかったという話もあり、葬祭業者が気を使っているのかもしれません」(同)

 新型コロナウイルスの発生地となった中国や、その次に感染が急激に広まったイタリアでは、どのような葬儀が行われているのか。

「中国政府はウイルスによって死亡した遺体を迅速に火葬することを義務付けた。そのような中、中国のSNSに投稿された亡くなった直後に火葬場へと運ばれる母親の遺体を積んだ車を追い、泣き叫ぶ娘の姿を捉えた映像が、人々の涙を誘いました。火葬率は日本では99・9%、イタリアでは23・9%に過ぎません。火葬場の整備に違いが見られます。イタリアのパンデミックの中心地となっている都市では、亡くなった人の火葬が追いつかず、多くの遺体が近隣の町に運ばれた。軍が遺体を他都市の火葬場に運んだりしています」(同)

 信仰している宗教によっては土葬が主流の国も多い。信仰心が新型コロナ感染拡大の一因となっている可能性もある。

「イタリアはカトリックの国で、信仰心が強い方も多いです。宗教者が臨終に立ち合い感染するケースが多く、コロナで亡くなった医者の数より多いそうで、聖職者の感染者対策も問題になっています。感染が広がったイスラム教徒が多いイランでは、コロナウイルスで亡くなっても埋葬しています。そのため、墓地がどんどん拡大しているそうです。墓地を衛星写真で撮影した報道もありました。ウイルス検査のため埋葬が先延ばしとなっており、イスラムの教えを守れないだけでなく衛生的にも問題となっています」(同)

 葬儀でコロナウイルスに感染した例は、日本でも今のところ1件が報告されている。愛媛県の松山市で、3月22日から23日に営まれた通夜と告別式で、9人の参列者の感染が確認されている。

「結核で亡くなった人は、遺体の口から菌が出ると言われています。葬儀でのコロナウイルスの感染が1件だけというのは、元々日本の葬儀関係者がB型肝炎や結核など、感染に対してかなり敏感だからでしょう。感染症で亡くなった遺体への対応を充分にとっており、遺体を扱う際にも注意していますが、今回のコロナウイルス対策として、さらに注意をするようになりました。また、新しい火葬場では、労力削減から一人で柩を霊柩車から運び火葬炉内で納めることができます、霊柩車から柩を柩運搬車に載せ替え、火葬炉内には転載装置により火葬用台車に載せ替えが可能で、職員は柩に触れることが無く、安全面で問題はないでしょう」(同)

 最後にこう言う。

「日本では感染者がまだまだ少ない。これは欧米との文化の違いが関係していると思います。日本人は綺麗好きで、飲食店に入るとお絞りが出る。ホテルのトイレは清潔です。海外は個人主義で、こうしたいと言えば、それを認める文化がある。葬儀で感染の恐れがあっても、文化を尊重するケースがある。日本では感染しないためのルールができたら、みな従います。家族の絆も差がありますね。イタリアでは毎週のように、親子で会食します。ところが日本では、家族が集まって食事をするという機会は、最近は少ない。それで感染もそんなに多く広がらないのでしょう。日本は感染が広がらないように、マスク、手洗い、うがいを徹底しています。おかげでコロナだけでなく、インフルエンザやノロウイルスの感染者もかなり減ったそうです。例年と比べ、火葬数も増えていません」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年4月9日掲載

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