新型コロナ、4月終息説は本当か ウイルスを衰えさせる“湿度”と“紫外線”

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紫外線でウイルスが死滅

 もっとも矢野副院長も、世界規模での収束は簡単ではないという見解で、

「1人の感染者が何人にうつすかを示す基本再生産数が1以下になれば、終息に向かいます。現在、これが世界全体で2~2・5ほどなので、さすがに4月、5月に1を切ることはないのではないか」

 と見るが、それでも、

「暖かくなれば、ある程度終息に向かうと思います」

 と続けるのである。

 その根拠になると思しき見解も、各方面からぼちぼち出てきていて、医療ジャーナリストが説く。

「新型コロナウイルスは湿度に弱い、という研究報告がアメリカから出され、気温22度、湿度50%の場所ではウイルスが活動できない旨が記されています。中国の研究チームも、気温が8・72度を超えると、ウイルスへの感染者が減るという研究結果を発表。湿度や気温の上昇で、ウイルスの動きが急速に鈍化することが期待されています」

 これからの季節、もう一つ増えるのが紫外線の量である。これについて、長野保健医療大学の北村義浩教授は、次のように語る。

「コロナウイルスその他への実験で、紫外線を30分当てれば、ウイルスを無害化、除去できることが明らかになっています。理髪店にカミソリを殺菌する機械がありますが、あれはUVCという、紫外線のなかでも非常に強いものを当て、ほとんどすべての菌やウイルスを死滅させているのです」

 では、紫外線の量が増すと、具体的にどのような効果が表れるのか。

「一番は、手すりなどに付着したウイルスが除去され、接触感染を防げること。いまは2時間に1回消毒するなどして対応していますが、昼間はその労力を屋内に向けられるようになる。その結果、屋内での感染も減らせると考えられます。また新型コロナウイルスは、空気中でも生存できることがわかっていますが、結核などの空気感染する菌に紫外線が効果を発揮することは、疫学的にも明らかになっている。ですから、空気中のウイルスへの効果も期待できるかもしれません」

 この見解を、欧州における感染の爆発と重ねて説明してもらうと、

「フランスなどは北海道よりも緯度が高く、これまでの季節は紫外線のエネルギーがないに等しかった。欧州のスキンシップの多い文化も、感染拡大に影響したとは思いますが、紫外線の影響も無視できません」

 ただし、北村教授は、終息にはもう少し時間がかかると読み、こう続ける。

「4月に入ると紫外線に加え、気温や湿度も上昇しますが、4月の紫外線はまだ弱く、ウイルスを死滅させるには日光を1時間以上当てないといけません。しかし、6月になれば紫外線量が飛躍的に増え、実験室で使う紫外線と似た効果が期待できる。本格的に終息しはじめるのは5月末から6月頭だと思います。梅雨もウイルスの天敵で、物質の表面に付着したものは雨で洗い流されてしまいます」

 4月終息は無理か。だが、北村教授はこうも言う。

「7種類のコロナウイルスのうち、通常の風邪などに分類される4種類は季節性で、11月から3月ごろに集中します。今回のウイルスが季節性かどうかわかりませんが、SARSも5月ごろには終息しました。感染の中心だった北京は、5月には気温が30度くらいになる日もありますので」

 これから冬を迎える南半球は予断を許さないものの、日本のほか、いまの感染の中心地である欧米にも、4月になれば明るい兆しが見える可能性は、低くはなさそうである。

週刊新潮 2020年4月2日号掲載

特集「『アベショック』の謎、謎、謎」より 

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