新型コロナ、4月終息説は本当か ウイルスを衰えさせる“湿度”と“紫外線”
関東は桜もほぼ満開になり、季節は急に春めいている。新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らぬ、かのように見え、東京五輪も延期が事実上決まった。しかし、これからの季節、ウイルスの力が急速に衰える、これだけの理由があるのである。
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アメリカのトランプ大統領は自分を「戦時下の大統領」になぞらえ、ドイツのメルケル首相は「第2次大戦以来の挑戦」と緊張を煽り、フランスのマクロン大統領は「ウイルスとの戦争状態」を強調。各国首脳が戦争を引き合いに出して国民の結束を促し、実際、支持率を上げている。
たしかに、世界の感染者数は70万人、死者数は3万人を超え、数字の増え方は加速度を増している。だからといって、新型コロナウイルスが蔓延している現況は、戦争にたとえるほどのものなのだろうか。
「これは風邪のウイルスのようなもので、インフルエンザとくらべても病原性はずっと弱く、どうということはありません」
と言い切るのは、免疫学が専門の順天堂大学特任教授、奥村康氏である。
「ウイルスに対して僕らの体にできる免疫を頼りにするのが一番いい。免疫さえあれば大事には至りません。インフルエンザを考えてみてください。11月に入ってきて、12月、1月と流行し、3月になるとみな、大なり小なりさらされて免疫ができます。少々乱暴な言い方になりますが、早くウイルスをばらまいてしまったほうがいい。そのほうが早く抗体ができるからです。今年の冬も、日本でインフルエンザの感染者は千人以上亡くなっていて、致死率が高いからワクチンもある。でも、風邪のためのワクチンなどありません」
ここで奥村氏は武漢の例を出す。
「ウイルスの発生地である武漢で発症が止まったのは、気づかないうちに多くの人に抗体ができたから。とにかく免疫に頼るしかないというのが私の考えです。ただし、遺伝的に免疫の弱い方もいて、そういう方は重篤になって命を落とす危険もありますが、100から200人に1人くらいの割合です。高齢者や持病のある方を別にすれば普通の生活を続けて構いません。無理に閉じ込めたりしなければ、4月か5月には落ち着くかもしれません」
集団免疫を獲得すれば、戦争であるかのように構えるまでもないというのだが、それ以上に「4月か5月」という言葉に期待する向きも多いのではなかろうか。
ここで、一つのヒントを挙げてみたい。3月23日現在、北海道の感染者数が162人なのに対し、沖縄はわずか4人。九州と四国も大分と高知を除けば、各県とも1桁にすぎない。
海外に目を向けると、イタリアを筆頭にスペインでもドイツでもフランスでも、そしてアメリカでも、すでに万単位の感染者が出ている。その一方、台湾は169人で香港も317人。欧米にくらべて衛生環境がよいと思えない東南アジア諸国も、タイ599人、フィリピン380人、中国人が多いシンガポールも455人。13億の人口を抱えるインドの感染者数も、376人にすぎない。
要するに、気温や湿度が低い地域で大規模な感染が広がり、それらが比較的高い地域では、さほど広がりを見せていないのである。
これを受け、感染症に詳しい浜松医療センターの矢野邦夫副院長は、
「科学的に確固たるデータはなく、感覚的な話だ」
と断りながらこう話す。
「沖縄より北海道、東南アジアよりヨーロッパでの感染力が強いことから、4月以降、終息傾向をみせるかもしれません。湿度も気温も上昇し、換気も行われるようになるので、新型コロナウイルスが急増する傾向は少し抑えられる可能性がある。そもそも風邪のコロナウイルスは一般に、冬に流行する特徴があって、暖かい季節にはそれほどではありません」
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