【新型コロナ】小池都知事の「ロックダウン」パフォーマンスに惑わされるな

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 新型肺炎の感染拡大を受け、小池百合子東京都知事は「ロックダウン」の可能性に言及している。果たしてロックダウンに意味はあるのか。そこには、小池都知事のパフォーマンスの側面も見え隠れし……。

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 3月25日に「このままではロックダウンを招く」と警告し、週末の不要不急の外出自粛などを呼び掛けた小池都知事。これに、都政担当記者は呆れて言う。

「五輪が今年開催される可能性があるうちは、東京のイメージ低下を恐れ、新型コロナウイルスについてダンマリを決め込み、延期が決定的になるや否や、ロックダウンの可能性に言及するという姿勢は、到底、都民本位ではありません」

 仮にロックダウンが行われるとすれば、安倍総理が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、緊急事態宣言を出したのを受け、都知事が具体的な行動自粛を要請するという流れになる。だが、総理周辺からロックダウンに肯定的な声は聞こえないという。

「小池都知事は官邸にも政府にも一切相談なく、外出自粛を求めました。五輪への影響を恐れて、強い措置に踏み切れなかった都知事が、いま積極策に出ているのは、7月の知事選に向けてのパフォーマンスの面がある。菅さん(菅官房長官)らはそれを見抜いているから、一歩引いているのです」(政治部記者)

 もちろん、新型肺炎の感染拡大防止に効果があるのであれば、ロックダウンは講じるべきである。ただし無視できないのは、封鎖による経済面への影響だ。

 第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏の試算によれば、ロックダウンによるGDPのマイナスは1週間で1・4兆円。1カ月ともなれば5・8兆円に上るという。命はカネに代えられない、という声もあるだろうが、

「リーマンショックの際には、失業者が年間110万人以上増えましたが、政府の対応が遅れれば、それを超える可能性がある」(永濱氏)

 しかも今回は中小のサービス関連産業が大打撃を受ける。倒産、失業が相次げば、これに伴う「コロナ自殺者」の急増も絵空事ではない。

 もっとも、ロックダウンにも程度はある。国際医療福祉大学の和田耕治教授は、すでに人々の行動が自粛方向に変り始めているとしたうえで、

「欧米のような強制型でなくても、感染者数をある程度下げられるのではないか、という期待をもっています」

 と語る。すなわち日本であれば、経済を稼働させながらコロナウイルス対策を行いうる、ということでないだろうか――。

 4月2日発売の週刊新潮では、長引く「コロナ戦線」を大特集している。

週刊新潮 2020年4月9日号掲載

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