「羽賀研二」語る辛酸の獄中生活 シャバに戻れば妻は他の男と交際し…

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「臭い飯」を食べたら

〈ペナルティが終われば、また独房と工場を往復する日々だ。刑務所の朝は早く、6時45分に起床、作業のない土日は休日で1時間ほど遅くまで眠っていられる。

 起床後はすぐに部屋掃除と朝食を済ませて、平日は8時から工場で作業。正午から食堂で昼食、13時少し前に作業が再開され、夕方16時半頃に終わったそうだ。〉

 週2回、風呂に入れる日は作業が15時に終わることもありました。入浴後は17時に独房へ戻り、点呼されて夕食。消灯の21時まで自由時間なので、独房でテレビを観たり、家族に手紙を書いたりできます。

 欠かさずやったのは筋トレ。腕立て伏せを1セット100回、1日10セットで計千回くらい。運動は決められた時間以外してはいけない規則で、早朝だと荒い息遣いでバレることもあった。それで懲罰を受けたこともあります。

 おかげで身長182センチの自分は、61キロくらいの体重を保っていた。今は10キロほど増えましたが、当時はガリガリでしたね。

 服役前から摂生していたので不満はありませんでしたが、食事の量が少なかった影響はあると思います。

 朝は白飯と味噌汁、それにタクアンとか柴漬けが少しだけ。1週間から10日に1度、漬物の代わりに納豆が配られるんですが、これが嬉しかった。ご飯にワーッてかけると、普段とはボリューム感がまるで違う。もともと、沖縄人って納豆は臭くて嫌い。僕もそうだったんですが、刑務所で初めて「臭い飯」を食べたら、こんなに美味いのかと。納豆が大好物になりました。

 刑務所では、約300人いる受刑者全員の飯を、仲間同士が分担して作ります。食材を揃えて切ったりする野菜場の係、大きな釜で調理する係などに分かれますが、自分はそこでも懲罰を受けてしまった。

 献立にはないおかず、いわば「裏メニュー」作りが見つかってしまったのです。

 受刑者たちの密かな楽しみなんですが、まず野菜場を担当する受刑者が、食材をこっそり集める。それを調理担当の仲間に渡せば、生姜焼きやチンジャオロースーなど、普段は食べられないおかずを作ってくれる。

 完成したら、オヤジたちに見つからないよう食材倉庫の上に隠して、皆が交代で入って食べます。

 ところがある時、自分が長靴の中に隠し持っていたカマボコが、オヤジに見つかってしまった。何でバレてしまったのか。どうやら刑務官にチクった受刑者がいたそうです。芸能人なので気にくわないと思う人がいたのかもしれない。

〈度重なる懲罰が影響してか、模範囚なら仮出所が認められるところ、羽賀はほぼ満期まで塀の中。昨年1月、出所を目前にして、前述した再逮捕と相成るのである。〉

 取り調べのため、宜野湾警察署の留置所を経て、那覇拘置所に移送されました。

 保釈が認められ、塀の外に出たのは5月16日の昼頃。弁護士の先生と、用意された車に乗り込みました。

 向かった先は、沖縄市にある1泊1700円の民宿でした。風呂もトイレも共同で、日雇いの労働者とかと顔を合わせると、“なんで、こんなところにいるんだ”という顔をされてしまう。

 そんな仮住まいの部屋で、塀の外で過ごす初めての夜を迎えました。好物になった納豆とバナナを、独り食べながら頭に浮かんだのは、絶望の2文字です。

 もちろん、刑務所から解放された喜びはありますが、裁判は続く。何よりお金がないことの不安が大きい。

 当面の生活費として、弁護士から月10万円を借りて過ごすことになりましたが、やはり借金ですから。

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