新型コロナ対策で全国民に「現金10万円」? 専門家が指摘する“他にやるべき事”

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 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、安倍晋三首相は追加経済対策を講じるという。全ての国民に現金給付する方向で、当初は2万円の給付を検討していた。ところが、アメリカの1兆ドル(110兆円)の財政出動(21日現在で2兆ドル)に触発されたのか、1人10万円を国民に給付する案も浮上。その後、商品券を配布する案も検討され始めた。最終的には総額で30兆円を超える経済対策になりそうだ。

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 新型コロナに関する緊急経済対策は、すでに2回行われている。第1弾は2月13日、帰国者やクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの乗員・乗客などへの支援で153億円。第2弾は3月10日、臨時休校に伴う助成金制度の創設や感染拡大防止策などで約2兆円を注ぎ込んだ。

 そして今回、追加経済対策として、国民に一律の現金給付を検討しているのだ。政府は3月19日から月末まで、経済財政諮問会議を連日開き、専門家から意見を聴取。2020年度予算の成立後、大型経済対策を決定する。

「2008年にリーマンショックが起こった際、政府は09年に国民に一律1万2000円(18歳以下と65歳以上は2万円)の現金給付を行いました。ところが、ほとんど効果はありませんでした」

 と語るのは、城西大学の霧島和孝教授(マクロ経済)である。

「要するに、今は(消費)マインドが収縮しています。だから、いくら現金給付があっても使う気にならないでしょう。株価は乱高下し、先が全く読めません。困った時の、非常時でも比較的安全と言われてきた金も下落しています。そういう状況下では、みな安全志向になります。マスクとかトイレットペーパー、水、缶詰などの非常食は積極的に購入します。しかし、それ以外は控えて貯金にまわるでしょう」

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