【新型コロナ】インド人観光客が2000人キャンセル 京都のインド料理屋がオープン間近で窮地

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日本は第二の故郷

 そもそも、マヌさんが日本に来たのは30年前,1990年である。

「僕が8歳の時、初めて見た外国人が日本の女性でした。僕の従兄の奥さんで、すごく美しい人でした。それで日本に憧れを持ったのです。こんなきれいな女性がいる日本に行きたいと思いました」

 来日後、マヌさんはまず大阪でヨガ教室を開いた。7年前にヨガ教室を辞め、インド料理店を始めたという。日本人女性と結婚し、1男をもうけている。

「日本はとても居心地が良いですし、僕にとって第二の故郷みたいなものです。昨年5月に帰化の申請をしました。妻と一緒に、帰化のための面接を3回受けました。現在は審査待ちです」

 マヌさんによると、インド人観光客は、京都などの寺を好んで訪れるという。

「インド人観光客は、だいたい東京に来て、新幹線で京都や大阪へ向います。京都では、稲荷大社に人気がありますね、千本鳥居の山吹色は、インドの寺でもよく使われています。神秘的な雰囲気です。元々、日本の七福神はヒンドゥー教から来ています。弁財天は、ヒンドゥー教のサラスヴァティーという知恵の女神です。般若心経が寺で聞こえてきたりすると、インド人はすごく驚きますよ。言葉はわからなくても、唱え方や意味は同じ。仏教はインドで起こっていますから、ここまで渡ってきたのかとみな感心し、日本に親しみを持つのです」

 インド人は、日本食はあまり食べないという。

「インド人はベジタリアンが多いので、和食に魚やチキンなどのエキスが入っていないか気にします。お好み焼きを日本のピザだよと言って食べさせたこともありますが、年配のインド人は敬遠しますね。インドからの旅行者は年配の方が多いので、和食は難しい。インドでは濃い味が好まれますから、和食の薄味が苦手な人も少なくありません。また、インドでは基本的に冷たい料理を食べる習慣がありませんから、寿司も駄目ですね。だからこそ、私は団体客のためのインド料理屋をオープンしようと思ったのです」

 まもなく、桜の季節となるが、

「インド人は花見が好きです。日本で桜をみたいと思っている人は多いです。京都の桜は美しいので、本来、これからの時期は絶好の稼ぎ時になるはずでした」

週刊新潮WEB取材班

2020年3月12日掲載

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