ネットオークションでマスクを販売、888万円売り上げた「諸田洋之県議」はどんな男か

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ネットビジネスのノリ

 諸田議員は焼津市出身。県立島田工業高校を出て、法政大学に進学。同大学の大学院でMBA(経営学修士)を取得している。卒業後、豊田自動織機に就職し、その後、地元に戻って会社を起こした。

「橋下徹の人気にあやかり、日本維新の会に入党。2012年の衆議院選挙に出馬していますが、落選。翌13年の静岡県議補選にも出馬するのですが、また落選しています」(同)

 初当選を果たしたのは、15年の県議選だった。

「無所属で出馬したこともあり、“市民目線”をキャッチフレーズにしていました。選挙活動は地道にやり、演説も真面目にやっていました。『無所属だからしがらみがない、多様な民意を県政に届ける』とアピール。当選してからも、毎日のように辻立ちをしていましたね。彼が力を入れている政策は、町づくりです。焼津市の豊田地区には河川敷があるのですが、そこを公園にすると訴えていました」(同)

 ごく普通の県議のようだが、

「彼は、自分が経営する貿易会社の倉庫を議員事務所にしていました。そこには輸入したインクカートリッジなど、色んな商品が積んでありました。アマゾンなどから注文が入ると、その倉庫から発送するのです。従業員は、奥さんのほか若いアルバイトが何人かいましたね」(同)

 早い話、ネットビジネスをやっていたわけである。会社の倉庫を議員事務所にするとは……。政治とビジネスの区別をつけられなかったか。

「彼からすれば、いつもの仕事の延長線上で、マスクを出品したということでしょう。彼は暴利を得るつもりはなかったと言っていますが、詭弁ですよ。転売ではないかもしれませんが、県議という立場もあるのに、オークションにかけたのはまずかった。議員だから法律上、有権者にマスクを寄付することはできません。仕入れ値で売れば問題なかったんですよ」(同)

 別の焼津市議もこう言う。

「焼津市にとっても、マイナスイメージになりました。このご時世に、こんなことをやって、問題になるとわからなかったのでしょうか。諸田議員は、選挙になると熱心な活動をする、ちょっとやり過ぎな側面もあります。昨年2月は市議選で、4月には県議選があったが、彼は市議選の選挙中からあちこちで自分の選挙活動をやっていました。市議選の候補者からすれば、迷惑でしたね」

 諸田議員は、YouTubeで県政報告をしていたが、

「彼の県政報告を見ると、豊田地区の河川敷公園について、一般質問をしています。その後、公園ができるようになりましたと報告している。これだけ見ると、彼が公園を実現させたように見えます。彼が一般質問をしたのは事実だし、公園の予算が通ったのも事実です。けれども、公園を造る話は10年前から別の議員が進めていた話で、彼の手柄ではないんです。正直言って、なんだかなあ、と思いましたね」(同)

 諸田議員は、貿易会社の社長を辞任すると表明。「県議の職に専念し負託に応えられるように努力する」として、議員辞職をする考えはないようだ。とはいえ、県議の中には、「辞職勧告決議案の提出は避けられない」という声もすでに上がっている。

週刊新潮WEB取材班

2020年3月11日掲載

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