【新型コロナ】デマと分かっていてもトイレットペーパーを買い占める人の心理状態とは?

国内 社会

2020年03月04日

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「家族のため」に買い占め!?

 ドラッグストアで行列を作る人々を見て、「デマに踊らされた馬鹿な人たちだなあ」と心の中で呟いた人もいるだろう。

 ネット上では「情弱」というジャーゴン(隠語)がある。「情報弱者」の略だ。トイレットペーパーを買い占める人々にこそふさわしい言葉のように思えるが、碓井教授によると実際は逆だという。

「デマに踊らされない人だけでなく、本物の情報弱者も買い占めの行列には参加しません。『トイレットペーパーがなくなる』というデマをキャッチして危機感を持ち、行列に参加するとなると、ある程度は情報に対する感度が高い人なのです。更に、それなりの金銭と時間の余裕を持っている人でしょう。悪質な転売目的を除くと、行列に並ぶ人は大半が『家族のため』という目的意識を持っている可能性があります。仮に高齢男性が行列に並んでいるとすれば、彼は自分の配偶者、子供や子供の配偶者、はたまた孫のために我慢して行列に並ぶというイメージです」

 買い占めには大義名分があるのだ。碓井教授は「大量購入、つまり買いだめは歯止めがきかなくなり、のめり込む傾向があると明らかになっています」と言う。

「ティッシュペーパーやトイレットペーパーを買い占めると、安心感や充実感を覚える人がいるはずです。家族を守る役に立てたからです。この感覚は、更なる買い占めの品物を探す動機になります。『中国でマスク増産のため、ティッシュペーパー用の紙がなくなる』という最初のデマとは関係ない、お米やパスタまで買い占められるのは、こうした心理状態で起きた現象だと考えられます」

 もし日本社会が無意味な買い占めを止めさせようとするなら、「馬鹿なことは止めなさい」と説教しても効果は見込めないという。

「人は説教より感謝されることで動きます。飲食店のトイレでは『汚さないでください』と注意書きするより、『綺麗に使ってくださってありがとうございます』と感謝のメッセージを掲示したほうが汚す人は減ります。買い占めをしている人に『デマに騙されているなんて馬鹿だね』と馬鹿にしたり、説教したりしても意味がありません。『家族を守るための行動ですよね、でも、過度の買い占めは社会全体にとってはマイナスですよ』と理解を示しながら諭すようなメッセージのほうが、効果的だと思われます」(同・碓井教授)

 それから日本全体で「買い占めはカッコ悪い」というイメージを広めていくことも重要だとする。

 碓井教授が「買い占めをする人は情報の感度が決して低くない」と指摘したのは、先に記述した通りだ。「カッコ悪い」という言葉に反応し、無意味だと気づくきっかけになる可能性があるという。

週刊新潮WEB取材班

2020年3月4日掲載

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