【新型コロナ】デマと分かっていてもトイレットペーパーを買い占める人の心理状態とは?

国内 社会 2020年03月04日

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米や缶詰も買い占め

 ここまで人は、デマに踊らされるのか――。ドラッグストアの前で長い行列が作られているのを目にし、そんな思いを持つ人もいるだろう。

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 新型コロナウイルスによるデマを原因として、ティッシュペーパーを中心に多くの日用品の買い占めが続いている。「明らかな嘘八百なのに、それでも買い占めを続けるのはなぜだろう」と首を傾げる向きも少なくないはずだ。

 まずは経緯を振り返っておこう。新聞や雑誌記事のデータベース「ジーサーチ」で検索を行うと、日本で最初に新型コロナを原因とする買い占めが報道されたのは、シンガポールのケースだったようだ。

 時事通信アジアビジネスの報道によると、ウイルスに対する警戒レベルが引き上げられたことを契機として、2月7日ごろから米やトイレットペーパー、即席麺の買い占めが始まったという。

 だが、同紙は10日に「スーパー買いだめ、日曜日には沈静化か=シンガポール」と報じた。記事に登場する女性のコメントを紹介しよう。

《女性は、買いだめをする人々がいると言われていたが見ていないと述べ、「買い込み過ぎて家に置き場所がなくなったか、買いだめをSNSで非難されたのでやめたのだろう。また、リー首相をはじめとした閣僚による説得があったせいかもしれない」と述べた》(註:引用に際してデイリー新潮の表記法に合わせるなどした。以下同)

 次に報道されたのは香港。NHKは2月17日、「感染拡大・香港 繁華街の商店からトイレ紙強奪 本土との出入り制限で生活用品不足」と報じた。

 記事が伝えたのは、香港中心地の商店に3人組の男が押し入り、トイレットペーパー600個を盗んだという事件だ。後に犯人は逮捕されたのだが、香港の買い占め状況を報じた部分をご紹介しよう。

《市民の間では、中国本土から商品が届かなくなるといううわさが広がり、不安が高まりました。このため、各地のスーパーや雑貨店では、連日、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどが買い占められ、売り切れる事態が相次いでおり、日常生活への影響が広がっています》(註:改行を省略した)

 はっきり言って、日本人にとっては、この時点まで対岸の火事だったのだ。ところが熊本県の地元紙・熊本日日新聞の報道により、日本の状況は一変する。

 2月28日の朝刊に「トイレットペーパー買い占め騒ぎ 県内 SNSで『品薄』情報拡散 業者『事実無根。落ち着いて』」との記事が掲載されたのだ。

 それからの動きは極めて速かった。時事通信は同日、「ティッシュなど品薄に=『原材料マスクに』デマ拡散-ネットで高額転売も」と報じ、「全国的にトイレットペーパーやティッシュが品薄になっている」と伝えた。

 2月29日には安倍晋三首相(65)も記者会見で「事実でないうわさが飛び回っている。充分な供給量と在庫が確保されている」と国民に呼びかけた。

 しかしながら、首相の言葉であっても、大した効果はなかった。他に女性の生理用ナプキンや、介護用のおむつも品不足という報道もある。それどころか、今や紙製品以外の買い占めも発生している。エスカレートが止まらないのだ。

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