大塚家具、黒字まであと一歩のはずが66億円の赤字見通し 迫り来る上場廃止の足音

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上場廃止の可能性も

 とはいえ、せっかくヤマダ電機の子会社となったのだ。悪い話ばかりではない。2月7日、ヤマダ電機の都市型店舗4店がリニューアルされ、大塚家具のフロアが立ち上がった。池袋の日本総本店と品川大井町店、そして大阪のなんば店と千里店である。今後もさらに展開していくという。

 久美子社長言うところの「今までのニッポンにない暮らしの新しい選び方」への第一歩というわけである。

「ヤマダのホームページにも店内の様子が掲載されていますが、例えば、リビングルームの提案としてレイアウトされたコーナーは、8Kテレビの前にソファーが置いてある……初めて見た気がしません。それに思いのほか家電が少なく、単に大塚家具の売り場を作っただけのようですね」(同・関係者)

 だが、コラボ店の発表で株価は上がった。

「すぐ後に今回の決算発表があって、株価は元に戻ってしまいました。大塚家具の最大の問題は既存店舗の赤字垂れ流しですが、その解決策がいまだ見ていません。ヤマダで大塚家具が売れるのであれば、そちらにシフトしていくのがいいはずです。ただし、大塚の従業員が減り続けています。しかも、減っているのは店舗の社員と見られます。18年12月末に全社1264名のうち店舗は854名でした。それが昨年6月には全社1078名となり、店舗は633名。さらにこの12月で全社は1000名になりました。その間にも直営店3店、提携店1店を閉店していますから、すでに店舗の社員は600名を切っている計算になります。となれば、ヤマダとのコラボ店を大きく展開するほどの人員が残っていないのではないか。リニューアルした4店舗には大塚家具の社員が入り、家具の説明をしているようですが、ヤマダにはコラボ展開する“家電住まいる館”が全国に100店舗あるんです。そこに社員を派遣できる状況ではなくなっています」(同・関係者)

 今後、さらなる大問題が待ち受けている。

「今回の業績予想は、66億の赤字とされ、4期連続の赤字となることがほぼ確定しました。JASDAQの上場廃止基準には、《最近4連結会計年度における営業利益及び営業活動によるキャッシュ・フローの額が負である場合において、1年以内に営業利益又は営業活動によるキャッシュ・フローの額が負でなくならないとき》とある。つまり、5期連続の赤字で上場が廃止になるわけです。大塚家具は16年12月期から赤字が続いており、営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスが続いています」(同・関係者)

 大塚家具は来期で上場廃止になる可能性があるというのだ。

「今年7月に行われる株主総会は間違いなく大荒れでしょう。久美子社長は、株主からボロカスに言われるかもしれません。それでも、過半数の株式を取得しているヤマダが見放さない限り、彼女は安泰でしょう。その後に迫ってくるのが、上場廃止の可能性です。廃止となれば、株主たちは大きな不利益を被ることになる。ここまで業績を悪化させて、何の責任も取らず、のうのうと社長に居座る例は聞いたことがありませんが、彼女の場合はどうなるのか。今の今まで1回も経営責任を認める発言がなかった人ですからね」(同・関係者)

週刊新潮WEB取材班

2020年2月20日掲載

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