橋本聖子五輪相のウグイス嬢疑惑「半日9千円」の苦しい言い訳

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過剰報酬の跡

 政治アナリストの伊藤惇夫氏も言う。

「同じウグイス嬢を、同じ選挙で、協力関係にある陣営が『共有』した。直観的、常識的に考えれば、高橋さんが1万8千円支払っているのだとしたら、橋本さんも同じ額を出している、と考えますよね。片方だけ3千円少ないということがありうるのでしょうか」

 そして、

「『半日で9千円』の根拠についても、苦しい話ですよね。移動時間と言いますが、全日の場合だって、移動時間はあるじゃないですか。なぜ半日の方だけ考慮しなければいけないのか。意味がわかりません。掛け算の出来る人であれば誰でも、半日で9千円を支払っているのであれば、日当は1万8千円だったと思いますよ」

 実際、橋本陣営の収支報告書も杜撰な処理が垣間見える。例えば、選挙戦がスタートした7月4日の吉田さんへの報酬について。橋本大臣の収支報告書では、吉田さんはその日、「全日」勤務したことになり、1万5千円の日当が支払われているが、

「いや、その日、吉田さんははるみさんの陣営でも働いていましたよ」

 と言うのは、高橋陣営のさるウグイス嬢。

「早朝は聖子さんのところで、9時頃から半日ははるみさん。その後はまた聖子さんに戻っていたわね」

 しかし、先に述べたように橋本大臣は「全日」分の報酬を支払っている。「過剰報酬」の跡はここからも窺えるのだ。

 改めて両陣営に聞くと、高橋事務所は、

「引き続き、確認作業を進め事実関係を確認し、選管などとも相談の上、適切に対応します」

 と、時間稼ぎとも取れる回答。

 橋本サイドは、変わらず、

「1万5千円を超える報酬を支払った事実はありません」

 と強気な対応である。

「選挙運動は本来、ボランティアで行われるもので、ウグイス嬢など報酬が支払われる対象は例外。厳しくその使い道が問われるのは当然です」(公選法に詳しい、神戸学院大学の上脇博之教授)

「この件は、誰か告発者でもいれば、捜査が入る可能性もある案件。2人とも、国民に対して、納得できるだけの説明をする責任があります」(前出・伊藤氏)

 報酬の「相場」が法律とかけ離れているために起こっている事態でもあるが、折しも同様の案件にて河井案里議員への捜査が進行中。立春を迎え、梅の季節に訪れた「ウグイス疑獄」は、まだまだ広がりを見せそうである。

週刊新潮 2020年2月13日号掲載

特集「『橋本聖子大臣』『高橋はるみ議員』疑惑の核心! 『美貌のウグイス嬢』が書いた『裏領収書』」より

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