【新型コロナ】「病院船」配備で高木美保のコメントは不評 実現性を海自OBに聞いた

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実は白熱していた議論!?

 議論が行われたのは、衛星放送の報道番組「BSフジLIVE プライムニュース」(平日・20:00)だ。

 番組は2月12日、「元防衛相×日本共産党 自衛隊中東派遣の懸念 新型肺炎に私権制限は」を放送した。これが高木のコメントにおける“出典”になる。

 番組のMCは反町理・フジテレビ報道局解説委員長(55)と、同局の竹内友佳アナ(31)。この日のゲストは、以下の3人だった。

【1】元防衛相の森本敏・拓殖大学総長(78)
【2】元防衛相の中谷元・衆議院議員[自民党・高知1区](62)
【3】日本共産党書記局長の小池晃・参議院議員[共産党・比例区](59)

 森本、中谷両氏が防衛大臣の経験を持ち、小池氏は東北大学の医学部を卒業し、山梨県や東京都の病院に勤務した過去を持っている。3人の経歴を考慮して、番組としては専門的な議論を期待したようなのだ。

 果たして本当に、高木が呆れ返るほど低レベルな議論だったのだろうか。この番組はオンエアが終わってから、ダイジェスト版をネット上に無料で公開している。動画を元に、病院船に関する部分だけをご紹介しよう。

竹内友佳アナウンサー(以下、竹内):さて、新型コロナウイルスによる肺炎などの感染症や災害などへの対応に関して、加藤厚労大臣は今日の衆議院予算委員会で、「課題を関係省庁とも探りながら、病院船の配備のあり方を加速的に検討していく必要がある」と述べました。小池さん、この病院船の配備の必要性については、どうお考えでしょうか?

小池晃議員(以下、小池):病院船そのものについては、それは必要性も僕は否定しないんですけれど、今回の事態とはあんまり関係ないんじゃないかというかね、要は今回は病院船ではなくて病院ですよ。だってすでにもう、神奈川県では感染症の受け入れ用のベッドがちょっと飽和状態になっているとかって言うじゃないですか。やっぱりその、こういう事態が起こった時に、病院というのが今、もうベッドギリギリで、ほぼ100パーセント満床みたいな状況で動かしている。余裕がない。こういう、やっぱり事態に対応できない。特に感染症のために。例えば今回、新型コロナの患者が出てきた、今度、民間病院、一般病院でも受け入れるように、なんて言っているけれども、そうすると一定のフロアを全部開放するということをしなきゃいけない。そういうことができる病院って、はっきり言ってないですよ、民間病院に。そういう意味で言うと、今回の事態からすぐに病院船というより、まずは医療機関の体制じゃないですか。

小池:病院船については自民党、公明党の中で色んな検討がされてきたという風に聞いているので、その中に、詳細には承知してないんで、ま、私は何でもかんでも自衛隊の船に結びつけるようなことはね、ではないと思いますので、ドクターヘリの船版みたいなもので考えておられるという風に、ちらっと自民党の方からお聞きしていますけども、そういうようなものを作っていくこと自体は、それはあり得ることなんじゃないかなと。

中谷元議員(以下、中谷):今回はね、邦人の輸送も含めて、防衛省は事態に対応できるように準備はしてます。病院船も今、「とわだ」とか「おおすみ」とか、大型の輸送艦があります。それから話題になった「いずも」ですね、あれも多用途護衛艦なんで、病院の機能も果たせるんですね。今度、改装しますんで……

小池:「いずも」は空母じゃないですか。

森本氏は費用に懸念

中谷:いや、多用途護衛艦ですから、病院船の機能も果たせるんですよ。ですからそういう点で対応は可能になっていますが、問題はお医者さんが足りない、医師が……、ということで、そういう点においてもやはり、医療の体制も整備していく必要があろうかと思います。

竹内:病院船の現状は、こちらです(註:画面を示す)。まずアメリカ海軍は2隻保有していまして、ベッド数は1000床。12の手術室があり、世界最大です。また中国海軍も大型病院船1隻と小型病院船2隻を保有しています。さらにロシア海軍も3隻の病院船を保有しています。ところが一方、日本は医療機能を専門とする病院船は保有していません。ただ、海上自衛隊の輸送艦や補給艦、護衛艦などは医療機能を備えています。森本さんは……

森本敏氏(以下、森本):これは、あの、まず、海軍がこういう船を持っている理由というのは2つあって、1つはこの3つの国って陸地が広いですから、なかなか陸路で患者を多数運ぶということが難しく、かつ、感染性の方を陸路で動かすというのは無理な場合には船で、港でピックアップして、海に出て、感染を防ぎながら……

MC反町理氏(以下、反町):あ、そういうことだったんですか。

森本:医療活動ができるという意味があるので、それぞれの国の海軍が持っている。もう1つは、他国に対する医療災害派遣ですね。特に途上国に行って、例えば途上国の港の沖合で止めて、そしてハッチと言いますか、ボートで運んできて手術をしてまた戻してやるということができるわけですよね。例えば大洪水なんかが起きた時には、アメリカ海軍はよく、そこの沖合に行って、治して、こう戻してやるということができるわけですね。そういう選択ができるので、船に医療の装置を持っているということは非常に便利なんですね。ただ、お医者さんがきちっと揃っていて、経費も相当かかるので、費用対効果というのはかなり無視してやらざるを得ないという問題があって、もっぱらこれらの国は自国というよりか、むしろ途上国の支援のために持って……。

反町:防衛予算枠なんですか、じゃあ? もしかするとODA枠みたいな……やっぱり防衛予算なんですか?

森本:自衛艦として持ったら、これは自衛隊の装備ですから、ODAの条項には入らないので、だから例えば、よく東南アジアなんかで洪水が起きた時には、アメリカは医療船(註:ママ)を送ってきます。日本は間接的に協力したりするんですけど、日本も実はですね、これを持つべきだという議論をしながら、ずいぶんと色んな試算もしたんです。

小池:今回の事態を受けて病院船というのであれば、私は自衛隊の船を作るんじゃなくて、やっぱりその民間のね、病院船を作る、ということであれば理解できますけれども。

中谷:熊本地震の時も、実は民間のフェリー「はくおう」というのをチャーターしまして、待機場所に使ったりしましたけど、自衛隊のOBが運行しているんですね。船員組合との関係でございまして、そういう船が2隻あります。

小池:でも中谷さん、そういうことは今、この議論が始まっている病院船は、自衛隊の船ということを想定しているんですか?

中谷:自衛隊は……

小池:そういう話は聞いてませんけど。

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