メッキが剥がれた小泉進次郎が名宰相になるには “敵”は田中角栄、山本太郎…

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安倍政権先送りの宿題が小泉進次郎政権の宿命

 しかし、安倍政権の規制改革に尽力した原氏を、自民党は見捨てた。請願を出すには議員の紹介が必要だが、手を差し伸べようとした議員に党内で待ったがかかり、日本維新の会の参議院議員・浅田均氏の好意に頼らざるを得なかった。署名の賛同人の一人が苛立って政権中枢に内々にクレームを申し入れても、政権側は全く取り合わなかったとの情報も聞くが、いずれにせよ、政権は原氏を見捨て、森氏の増長を黙殺。これまで安倍政権を支持してきた保守寄りのネット民の間にも、困惑や失望が広がった。

 同時に私は、安倍政権が総仕上げの憲法改正を優先するあまり、政治的に面倒な改革に背を向ける象徴的出来事に見えた。大学入試改革投げ出しは際たるものだったが、規制改革の小手先感、あるいは先送りは、近年ずっと言われていた。

 たとえば、他の先進国で普及して久しいUberなどのライドシェアは解禁されず、放送改革も電波の有効利用について初めて施政方針演説に盛り込み、政治報道の自由化観測もあったものの、結局、腰砕けに。いずれも業界の抵抗がものすごかった。ドイツのように労組が伝統的に強い国ですら踏み切った正社員の解雇規制緩和もやらないから、人材が流動化せず、新しい産業への人材配置が進まない。これでは産業の新陳代謝が進まず、人口減少による人手不足も重なって、日本経済は平成の30年間、世界でも特に低成長に甘んじている。

 私は小泉進次郎氏に正直期待はしていないが、もし彼が殻を破って本物の改革者であるなら、権力を握った途端に、平成期に先送りを重ね、積もり積もった宿題を片付けることが宿命として背負わされることになる。既得権にメスを入れてでも、時代にあったルールづくりをしなければ、日本の劇的な再生はあり得まい。

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