周来友さんが日本で見つけた飲食店 美味しいNIPPON

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 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第24回は、周来友さん。今回は「緋色の海」に伺いました!!

 眠らない街、新宿歌舞伎町。その地で20年近く営業を続ける「緋色の海」は、東洋一の繁華街にあるとは思えないほど落ち着いた雰囲気の割烹だ。

「ここには食いしん坊の社長に連れてこられたんですが、あまりに魚がおいしくて虜になっちゃったんです」

 とは、中国人ジャーナリストの周来友さん。テレビのバラエティ番組では、「トラブル孫悟空」という肩書で出演し人気を博している。そんな彼が日本に来たのは、約33年前のこと。

「食に対してカルチャーショックのようなことはなかったですね。ただ、『天津飯』とか『焼き餃子』とか、中国にない料理が“中華料理”となっているのにはビックリしました(笑)」

 だが、生の魚を口にすることには抵抗があった。

「1980年代の北京で外国料理といえばロシア料理くらいで、日本料理屋は1軒しかなかった。なので今ほど日本食が浸透していませんでしたし、そもそも中国には魚を生で食べる習慣がない。それで来日当初、刺身や寿司は食べられなかったんです」

 しかし、来日3年後に友人たちと行った北海道で獲れたての鮮魚の刺身を食べて感動。以来、大好きになったんだそう。

 というわけで、こちらのお店で頼むのも魚料理がメイン。千葉県館山産を中心とした「刺身の盛り合わせ」に周さんは破顔一笑。

「こんなおいしいものばかり食べて罰が当たらないかな(笑)。学生の頃はボロアパートに住んでいて、500円の焼き芋が食べられないくらいお金がなかったからね。今の中国人留学生の中には親に買ってもらったマンションに住んでいたりする人もいる。それはもう留学じゃなくて遊学ですよ」

 そう苦学時代を振り返る周さんの前に店主の島田さんが運んできたのは、「きんきの煮つけ」。周さんの大好物だ。

「見てこの美しさ! 味も最高ですよ! 今度、僕にお仕事の依頼あったら、お代はこのきんきの煮つけでお願いします(笑)」

“孫悟空”曰く、電話一つで駆け付けるそうです。

週刊新潮 2020年1月23日号掲載

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