ゴーンが「関西空港」を脱出の港に選んだ、これだけの理由

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 カルロス・ゴーン(65)が脱出の港に選んだ関西空港の運営はオリックスと仏ヴァンシ・エアポートを中核とする事業体が担っている。

 一昨年、関空が台風21号による水没被害に見舞われ、正常化までに37日もの時間を要した際、原因に「日仏混成部隊ゆえのまとまりのなさ」を指摘する声が少なくなかった。

 因みに羽田や成田の空港運営に外資がしっかり噛んでいる実態はない。

「関空はVIPにとって非常に使い勝手が良くできています。ゴーン氏が選んだのはさもありなんでしょう」

 と、航空アナリストの鳥海高太朗氏。というのも、

「ターミナル内には、プライベートジェット(PJ)の利用客が待機する専用施設『玉響(たまゆら)』があるのですが、ここから歩いてすぐ搭乗できるからです。羽田や成田では同様の施設から、車での移動を経て搭乗しなくてはいけません。その際、空港職員が車の運転や荷物の運搬を担当することになるので、怪しまれるリスクが増す。その一方で、関空ではこの過程が省かれるわけです」

 また、玉響には大型のX線検査機が置かれておらず、ゴーンが箱の中に息を潜めて脱出したことは既報の通り。

 さて、関空に玉響が開設されたのは、仏ヴァンシが運営に入るようになって以降、2018年のことだ。

「そこには、世界的な空港管理のプロフェッショナルである同社のノウハウが、色濃く反映されているはずです。今回のゴーン氏の選択は、VIPがスムーズに搭乗できる設計を逆手に取ったと言えます」

 逃走を幇助した元グリーン・ベレーらは大きな箱を使ったPJによる移動を繰り返す中で、玉響内での警戒感を解いていったのかもしれない。ともあれ、管理のプロでも警備に穴があるという事実は、その筋ではよく知られていたはずだ。となると、ヴァンシを噛ませた判断は万死に値すると言えなくもない。

週刊新潮 2020年1月23日号掲載

特集「『ゴーンvs.日本』九つの大罪」より

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