「娘と付き合わせたくないグループNo.1」SixTONES チャンスをつかみ損ね続けてきた男たちがデビュー

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娘と付き合わせたくないグループ

 SixTONESは、メンバーの田中樹が好きなお酒の種類を聞かれて「テキーラ、ショットで。一番コスパいいと思うから」と答え「今のところの印象は多分、“娘と付き合わせたくないグループNo.1”(笑)」(「日経エンタテインメント!」2019年10月号)と自虐しているように、わかりやすく言えば不良っぽいルックスと佇まいのグループ。先輩グループではデビュー時のKAT-TUNに近い印象です。世間的にイメージされる“ジャニーズ顔”が6つ揃った感じでもなく、その個性もバラバラです。

 京本大我は「僕らは基本、揃うことがない。ダンスも揃わないし、特技もバラバラだし、売りもみんな違うし」と語っています。「ダンスが揃うことがない」というのはバックダンサーも務めるジャニーズJr.としては致命的なことのようにも思えます。

 例えばKAT-TUNは、当初は堂本光一のバックダンサーを務めるグループとして2001年に結成されましたが、それぞれの個性が強かったグループ。曲のラストはみんなで揃えてピタっと止まらなければいけない時に勝手にそれぞれがワーッと踊っていた、なんてこともあったようで、幕が下りた瞬間に堂本光一から「お前ら、もう出なくていいぞ」と叱られた……なんてことも(「サンデー毎日」2019年12月22日号)。

“デジタル・ネイティブ”なジャニーズ

 そんな“不良たちの下積み”が花開いたのが2018年。YouTubeを使った人気の拡大という、これまでのジャニーズにはなかったやり方で、ジャニーズファン以外にもSixTONESの名前が広がりました。

 この年、ジャニーズJr.が YouTubeチャンネルを開設し、ファンとの接点が増加。SixTONESはそこで人気を伸ばし、滝沢秀明プロデュースによる初のMVを作成しました。11月に公開されたオリジナル楽曲「JAPONICA STYLE」は1300万回再生を超えています(2020年1月現在)。

 その勢いは止まらず、海外ではショーン・メンデスやBTS(防弾少年団)が務めてきた「YouTube アーティストプロモ」キャンペーンに抜擢されました。「ジャニーズをデジタルに放つ新世代。」というコピーとともに、品川や汐留など都内主要駅に彼らのポスターが掲出されたのです。

 同年12月に幕張メッセで行われた「YouTube FanFest Music JAPAN 2018」は歴史的なイベントとなりました。なぜなら、今までネットと距離をおいてきたジャニーズタレントによるネットライブの視聴者数が初めて公開された日となったからです。

 このイベントは他にも多くのアーティストが出演。つまり、ネットでの同時視聴者数で、人気や注目度が判明してしまいます。実際の数字を見てみると、TWICEで8万弱、他のアーティストの登場時は5~6万まで数字が落ち、大トリのSixTONESの登場で10万に。デビュー前のジャニーズJr.のユニットでありながら、他のアーティストと並んでも充分に戦える人気を持っていることが証明されたのです。

 2019年には滝沢秀明が演者としての芸能活動を引退して、ジャニーズJr.を育成する会社の社長に就任。滝沢の目標通り、自身のジュニア時代以来、約20年ぶりのジャニーズJr.黄金期と言われ、その勢いの中から、SixTONESとSnow Manが同日にデビューします。とはいえ、中には「実力ではなく、事務所によって作られたブームなのではないか」という声も。

 それに対して田中樹はこう語ります。

「今は正直、Jr.に波がきてるというより波を起こしてもらっているという感覚が強いです。(中略)でもたとえ作ってもらった波でも乗ってくらいついていかないと。その波を自分たちから発生させられるようになったら、本物の黄金期の再来」(「日経エンタテインメント!」2019年10月号)

「SixTONES」というグループ名は、ジャニー喜多川氏による命名で、当初は「SIXTONES」(シックストーンズ)という名前で、6つの個性が意識されています。

 一度は光を浴びた6つの原石。10年以上の時を経て、今度は自らが光を放ち始めるタイミング。浴びた光ではなく、自らが放つ光は、消えない光になることでしょう。

霜田明寛(しもだ・あきひろ)
1985(昭和60)年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。9歳でSMAPに憧れ、18歳でジャニーズJr.オーデションを受けた「元祖ジャニヲタ男子」。2019年8月現在は、WEBマガジン「チェリー」の編集長を務め、著名人インタビューを行う。3作の就活・キャリア関連の著書がある。

デイリー新潮編集部

2020年1月22日掲載

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