ゴーン逃亡、没収「保釈金15億円」は安すぎた…改めて総資産額を見ていこう

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 カルロス・ゴーン(65)は保釈金の15億を捨てて逃亡を選んだ。かつて、日産1社で10億を超す年俸をとり、日本脱出にポンと22億を出すほどだ。15億など屁でもあるまい。

 あくまで一般的にだが、保釈金の額は、被告の資産状況にほぼ比例する傾向にあると言われている。

 その算定基準について、甲南大学法科大学院教授(刑法)の園田寿氏に解説を請うた。

「保釈金の額は、刑事訴訟法第93条2項に定められています。“犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額”でなくてはならない。裁判官が総合的に判断するのです。しかし、被告人に預金通帳や資産目録を提出させ、それらを根拠に額を決めるということはしていません」

 となれば、これまでに高額の保釈金が積まれたケースはどうか。最高額は食肉卸「ハンナン」グループの浅田満元会長で20億。住専をめぐる資産隠し事件の「末野興産」の末野謙一元社長が15億で、6代目山口組の高山清司若頭もまた15億だ。ちなみに、司忍組長は10億である。

 ゴーンが同率2位とは、なんとなく“安い”感じがする。世界的な億万長者のゴーンなら、100億ぐらい積ませてもバチは当たるまいに。

 ともあれ、数十億単位の大枚をポンとはたける彼は一体いくらの現金を動かせるのか。改めて総資産を見ていきたい。

 昨年12月31日の時点で、英BBCは、推定純資産は1億2千万ドルとしている。日本円にして約130億だ。株や投資ではなく、簡単に現金化できる資産が、である。

 また、米誌ニューズウィークを買収した米ネットメディアIBTも、同額の資産と推定したうえで、

〈アムステルダムの月8千ユーロのマンション、ベイルートの900万ドルの大邸宅、月に9千ドルの東京のマンションに住んでいました〉

 IBTはさらに、所有するすべてのジェット機と財産を含めて、純資産は2億ドル(約216億円)に膨れ上がった可能性があるとも紹介していた。

 保釈金で逃亡を防ごうとする現行の保釈制度の根幹を破壊したゴーン。その資産目録の詳細は必ずしも詳らかではないが、やはり保釈金は100億以上でもよかったようだ。

週刊新潮 2020年1月16日号掲載

特集「風と共に『ゴーン』10の謎」より

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