今クールは毎晩どこかで「医療ドラマ」 6本は多すぎだけどみんな作りたがる理由

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刑事ドラマは大変

「これが外ロケだったら大変です。カメラは1台で、1シーンを撮るのにポジションを4回くらい変えなければならない。そのたびに照明さん、音声さん、メイクさんが走り回らなければなりません。医療モノと共に刑事モノも数字が取れますが、こちらは外ロケが多いから大変なんです。しかも繁華街でのロケが多いから、早朝か夜間のロケになる。夏は暑いし、冬は寒い。そんな中でお守りをしなければならないマネージャーだって大変ですよ」(同・民放プロデューサー)

 平たく言えば、数字が取れて撮影が楽だから医療モノが増えた、というワケか。

「それとお金でしょうね。昔は“まげモノ”、つまり時代劇が人気でしたから大変でした。京都でしか撮れないし、結髪さん(髪結い)や殺陣指導も大変でした。そうした人件費と京都のホテル代が制作費を圧迫しました。不景気になって真っ先に切られたのがまげモノだったのは、そういう事情からです。それとコンプライアンスの強化で、ヤクザモノも撮れなくなりましたね。今では『ごくせん』(日テレ・02年、05年、08年)だって、できるかどうか微妙なほどです。それに較べて医療モノは、大物の役者さんでも白衣着せてキャップ被せておけばいいわけですから、スタイリストやヘアメイクにだって、それほどお金はかからない。消去法で医療モノが増えたとも言えます」(同・民放プロデューサー)

 シビアな世界である。では、今期の医療モノで注目されるのはどれだろうか。

「『アライブ』は予想通りの結果でしょう。主演の松下奈緒はいまだにNHK朝ドラ『ゲゲゲの女房』のイメージが強く、その後の民放ではヒットに恵まれていません。最近では同じ木曜劇場では『グッド・ドクター』(山崎賢人、上野樹里)が数字を取っていましたが、二人とも数字を持っていますからね。やはり主演がどれだけ数字を持っているかは重要です。その点、期待できるのは天海祐希の『トップナイフ』(日テレ)でしょう。彼女が数字を持っていることはもちろんですが、原作・脚本は林宏司さん。『救命病棟24時』の第2シリーズ(01年・フジ)や『医龍』シリーズ、一昨年に劇場版も公開された『コード・ブルー―クターヘリ緊急救命―』なども手がけた手練れですからね」(同・民放プロデューサー)

 こんな見方もあるという。

「マンガが原作の『恋はつづくよどこまでも』(TBS)は、上白石萌音と佐藤健ですが、上白石の妹・萌歌が出演した『義母と娘のブルース』と同じ枠となります。佐藤は『ギボムス』にも出演していたわけで、果たして姉との共演は話題となるのかも見物ですね。また、『病室で念仏を唱えないでください』で伊藤英明が演じるのは、救命医でありながら僧侶という禁断の組み合わせ。こちらも原作はマンガですが、視聴者はどう反応するのかが気になります。そして、NHKの『心の傷を癒すということ』とテレビ東京『病院の治しかた』はいずれも実話をベースとしたドラマ。これらがどの程度注目されるかによって、今後の医療ドラマのあり方にも関わってくるかもしれません。さらに、『病院の治しかた』で主演する小泉孝太郎は、弟・進次郎議員の評判が落ちる中、どれだけ頑張れるかも注目ですね」(同・民放プロデューサー)

 あなたは今クール、どの医療ドラマをご覧になりますか。

週刊新潮WEB取材班

2020年1月14日掲載

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