日本球界の有望株リストを選出、ここから“若手侍ジャパン”を編成、根尾昂、吉田輝星は選外

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 プロ野球はシーズンオフに入っているが、この期間にもプレーを続けている選手は少なくない。中南米やオーストラリアで行われているウインターリーグに参加する選手は年々増えており、また台湾でのアジアウインターリーグには、ソフトバンク、楽天、西武、ヤクルト、オリックスで構成されている「NPB RED」と巨人、ロッテ、DeNA、中日、阪神で構成されている「NPB WHITE」の2チームが参加している。

古くはイチロー(当時オリックス)がハワイで行われたウインターリーグでブレイクのきっかけをつかみ、最近では吉田正尚(オリックス)がアジアウインターリーグで活躍し、翌年から不動の主力へと成長している。そして、日本が優勝を果たした世界野球「プレミア12」のアメリカ代表は一部のベテラン選手は参加していたものの、大半が「プロスペクト」と言われる有望な若手選手だった。そこで今回は12球団の「プロスペクト」で代表チームを編成するとしたらどのようなメンバーになるのか、二軍での成績やウインターリーグでの活躍ぶりから考えてみたい。なお、対象は今シーズン終了時点で来シーズンの新人王の資格を有している選手(支配下選手に初めて登録されて5年以内で投手は一軍登板30回以内、野手は一軍60打席以内)とした。まず、12球団から来季ブレイクが予想される対象選手を選出すると以下のような顔ぶれになった(成績は今季の二軍成績)。

【西武】
平良海馬:7試合 16回 1勝0敗0セーブ 防御率1.13
山野辺翔:87試合 82安打12本塁打35打点29盗塁 打率.271
鈴木将平:76試合 72安打2本塁打21打点13盗塁 打率.305

【ソフトバンク】
渡辺健史:23試合 49回2/3 5勝0敗0セーブ 防御率2.72
泉圭輔:23試合 49回1/3 2勝3敗1セーブ 防御率5.11
杉山一樹:22試合 36回 4勝0敗0セーブ 防御率2.50
古谷優人:17試合 35回2/3 2勝1敗0セーブ 防御率2.52
九鬼隆平:93試合 70安打6本塁打34打点5盗塁 打率.259
増田珠:111試合 91安打7本塁打53打点9盗塁 打率.278
田城飛翔:112試合 108安打4本塁打45打点10盗塁 打率.307

【楽天】
寺岡寛治:51試合 3勝3敗0セーブ 防御率1.65
石原彪:56試合 29安打3本塁打12打点1盗塁 打率.240
小郷裕哉:60試合 45安打4本塁打27打点13盗塁 打率.239
岩見雅紀:67試合 32安打6本塁打15打点1盗塁 打率.234

【ロッテ】
中村稔弥:16試合 6勝4敗0セーブ 防御率2.65
東妻勇輔:25試合 0勝1敗0セーブ 防御率4.85
成田翔:51試合 3勝2敗2セーブ 防御率2.82
安田尚憲:122試合 116安打19本塁打82打点1盗塁 打率.258
藤原恭大:82試合 68安打4本塁打21打点16盗塁 打率.227
山口航輝:114試合 68安打6本塁打29打点0盗塁 打率.238

【日本ハム】
北浦竜次:19試合 3勝5敗0セーブ 防御率3.38
吉田輝星:18試合 2勝6敗0セーブ 防御率4.35
今井順之助:89試合 77安打10本塁打49打点0盗塁 打率.256
野村佑希:75試合 67安打5本塁打32打点1盗塁 打率.245
万波中正:90試合 71安打14本塁打42打点1盗塁 打率.238

【オリックス】
神戸文也:19試合 1勝1敗1セーブ 防御率3.38
本田仁海:17試合 2勝4敗2セーブ 防御率2.37
東晃平:19試合 5勝7敗0セーブ 防御率3.84
宜保翔:111試合 85安打0本塁打20打点13盗塁 打率.227
太田椋:64試合 60安打6本塁打21打点4盗塁 打率.258
根本薫:117試合 85安打0本塁打19打点21盗塁 打率.229

【巨人】
堀岡隼人:29試合 0勝1敗9セーブ 防御率1.04
高田萌生:20試合 6勝6敗0セーブ 防御率2.99
戸郷翔征:11試合 4勝1敗0セーブ 防御率3.00
岸田行倫:92試合 72安打4本塁打33打点3盗塁 打率.293
増田大輝:29試合 29安打2本塁打12打点 打率.345
北村拓己:112試合 107安打8本塁打66打点5盗塁 打率.290
山下航汰:90試合 106安打7本塁打40打点6盗塁 打率.332
松原聖弥:96試合 96安打5本塁打28打点17盗塁 打率.287

【DeNA】
中川虎大:20試合 11勝3敗1セーブ 防御率2.25
斎藤俊介:25試合 2勝0敗1セーブ 防御率3.77
桜井周斗:22試合 3勝2敗0セーブ 防御率2.25
阪口皓亮:20試合 4勝6敗0セーブ 防御率4.67
山本祐大:51試合 38安打2本塁打16打点0盗塁 打率.255
伊藤裕季也:91試合 73安打14本塁打46打点0盗塁 打率.241

【阪神】
浜地真澄:12試合 0勝1敗1セーブ 防御率2.45
馬場皐輔:19試合 5勝7敗0セーブ 防御率3.17
熊谷敬宥:114試合 85安打2本塁打43打点17盗塁 打率.234
小幡竜平:99試合 71安打1本塁打14打点9盗塁 打率.225
島田海吏:89試合 79安打2本塁打20打点18盗塁 打率.242

【広島】
山口翔:16試合 6勝6敗0セーブ 防御率4.42
島内颯太郎:18試合 0勝1敗3セーブ 防御率2.57
ケムナ誠:19試合 4勝4敗0セーブ 防御率3.46
中村奨成:39試合 29安打2本塁打9打点5盗塁 打率.279
羽月隆太郎:89試合 65安打0本塁打9打点23盗塁 打率.300
林晃汰:102試合 71安打7本塁打35打点2盗塁 打率.225

【中日】
勝野昌慶:15試合 1勝4敗0セーブ 防御率4.73
木下雄介:22試合 1勝3敗1セーブ 防御率3.67
根尾昂:108試合 86安打2本塁打33打点9盗塁 打率.210
石垣雅海:81試合 69安打5本塁打28打点8盗塁 打率.243
高松渡:82試合 60安打0本塁打17打点5盗塁 打率.278

【ヤクルト】
清水昇:17試合 5勝9敗0セーブ 防御率4.48
久保拓眞:42試合 3勝1敗1セーブ 防御率2.78
大村孟:93試合 76安打1本塁打21打点4盗塁 打率.298
古賀優大:80試合 53安打0本塁打14打点4盗塁 打率.290
浜田太貴:105試合 86安打8本塁打52打点11盗塁 打率.254
吉田大成:101試合 70安打4本塁打31打点10盗塁 打率.238

 ここから「プレミア12」と同じように投手13人、野手15人(捕手3人、内野手7人、外野手5人)で仮の代表チームを以下のように編成してみた。

【投手】
平良海馬(西武)、渡辺健史(ソフトバンク)、杉山一樹(ソフトバンク)、古谷優人(ソフトバンク)、寺岡寛治(楽天)、北浦竜次(日本ハム)、本田仁海(オリックス)、堀岡隼人(巨人)、高田萌生(巨人)、戸郷翔征(巨人)、中川虎大(DeNA)、桜井周斗(DeNA)、山口翔(広島)

【捕手】
九鬼隆平(ソフトバンク)、岸田行倫(巨人)、古賀優大(ヤクルト)

【内野手】
山野辺翔(西武)、増田珠(ソフトバンク)、安田尚憲(ロッテ)、太田椋(オリックス)
増田大輝(巨人)、伊藤裕季也(DeNA)、羽月隆太郎(広島)

【外野手】
田城飛翔(ソフトバンク)、小郷裕哉(楽天)、山下航汰(巨人)、島田海吏(阪神)、浜田太貴(ヤクルト)

 投手は左右、先発とリリーフのバランスも考えて選んだ。渡辺、杉山、古谷、北浦、高田、戸郷、中川、山口が先発候補。一軍でも実績を残した平良が抑えに入り、その他の投手がセットアッパーというイメージだ。野手も左右、強打者とリードオフマンタイプのバランスを考えて選んでいる。今季の二軍成績が芳しくなくても選んだ選手は、一軍で飛躍の兆しを見せた選手や、このオフのウインターリーグで活躍している選手である。安田と伊藤といった左右の強打者が中軸を打つ打線がイメージできるだろう。また、下位指名と育成での入団ながら二軍で見事な成績を残した羽月、山下も好打率を残しており、リードオフマンとして期待できる。

 一方、昨年夏の甲子園を沸かせた根尾、藤原、吉田は選外とした。藤原は開幕スタメンを勝ち取り、吉田は一軍初登板で初勝利をマーク。根尾はアジアウインターリーグで活躍を見せるなど素質の片鱗は見せたものの、二軍での成績を見ても分かるように“プロの壁”に苦労していることがよく分かる。根尾と藤原は打撃の確実性、吉田は変化球の質を上げることが来年以降の飛躍には必要となってくるだろう。

 このような軸で選手を選んでみると、各球団や侍ジャパンの将来像が少し浮かび上がってくる。また、サッカーでは世代別での大会が行われているが、そういうくくりでも、代表に選ばれるということが選手のモチベーションの一つになっている。野球も国際大会をこの時期に行うのであれば、若手の育成の場として活用した方が有益であることは間違いない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年12月30日掲載

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