アニメ「シンカリオン」は放送終了後も人気堅調 TBSは打ち切り時期を見誤ったか

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アニメ終了後も人気

 シンカリオンは早朝に放送しているということもあって、実のところ視聴率はそんなに高くはない。しかし、最近はリアルタイムではなく、タイムシフト視聴で見ているファンも多い。テレビ番組の人気は単純にリアルタイム視聴率だけで測れなくなっている。リアルタイム視聴率だけで番組を評価することは時代遅れになりつつある。しかし、TBSはリアルタイムで視聴率を取れる番組を欲した。また、2020年に東京五輪が開催されることもあり、TBSは五輪の機運醸成に寄与する番組に変更したかったという思惑もあった。

 TBSの地上波放送打ち切りに対し、委員会が面白く感じるわけがない。特に、地上波アニメ放送をきっかけに、玩具の売り上げを急増させたタカラトミーにとって地上波アニメ放送の継続・打ち切りは死活問題でもある。

「プラレールとトミカは、タカラトミーにとって男児向けの主力商品です。これらのボリュームゾーンは未就学児童です。なぜなら、小学生ぐらいになると大半の男児は戦隊モノに興味を抱くようになって、プラレールやトミカから卒業してしまうのです。この小学校の壁がひとつの悩みだったわけですが、シンカリオンがプラレール離れを防ぐ役割を果たしました」(前出・委員会関係者)

 いまや小学校高学年男子の間でもシンカリオンは絶大的な人気になっている。シンカリオンの爆発的な人気は、期せずしてプラレールの対象年齢を小学校高学年まで広げた。

 少子化の影響で玩具メーカーに暗雲が立ち込める中、シンカリオンはターゲット層を拡大させ、そして売り上げ増という福音をもたらした。しかし、シンカリオンがもたらした効果はそれだけにとどまらない。

 小学校4、5年生まで鉄道に対する興味を持ち続ければ、その後はNゲージなどの鉄道模型へと移行する可能性も高い。タカラトミーには、鉄道模型を販売するトミーテックといった系列会社もある。シンカリオンによって、プラレール・シンカリオン・Nゲージと切れ目のない販売戦略を確立させたことはグループ全体に貢献している。それだけに、シンカリオンの地上波放送打ち切りの影響は無視できない。

 TBSが地上波アニメ放送を終了したことで、シンカリオン人気は急落すると思われた。ところが、その後もシンカリオン人気は堅調だ。

 京都府京都市にある京都鉄道博物館は、地上波のアニメ放送が終了した後の7月20日から9月10日まで「新幹線変形ロボ シンカリオン×京都鉄道博物館2019スタンプラリー」を開催。京都鉄道博物館は劇場版が公開される直前の12月16日からも「新幹線変形ロボ シンカリオン360°ザ・ムービー」といったイベントを実施。シンカリオン人気にあやかった企画を連発している。

 また、JR東日本も劇場版公開に合わせて11月27日から翌年2月24日までの期間中に「劇場版『新幹線変形 ロボ シンカリオン』スタンプラリー2019-2020in東北」を実施。

 テレビアニメ放送終了後も各地でシンカリオン関連のイベントが続く。そうした状況について訊ねると、タカラトミー広報部の担当者は意味ありげに

「シンカリオンはまだまだ止まりません。引き続き、新商品やファンの皆様にお楽しみいただける企画を用意しています。今後の発表をぜひお待ちください」と回答。

 打ち切りは早計だったと、TBSは後悔しているかもしれない。

小川裕夫/フリーランスライター

週刊新潮WEB取材班編集

2019年12月27日掲載

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