完敗だった韓国戦 “戦えない選手”がいた不甲斐なさ、そして一番の問題点は?

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韓国の長所を消さなかった森保監督

 森保監督は「韓国のスカウティング、分析に関しては映像を見ながらミーティングで伝え、練習で確認しながら選手に伝えた」と試合後の会見で述べていたが、試合を見る限り、守備のスカウティングではなく、攻撃のスカウティングだけだったのではないかという疑問が残る。

「特に前半はビルドアップのところでミスが多くなった。中盤のゾーンに運んだところで奪われていた。長いボールも合わなかった」とキャプテンの佐々木翔が振り返ったように、攻守で後手に回った前半だった。

 そして戦術のミスは選手起用のミスとも関係性がある。第2戦ではCB3人を入れ替えて結果を残した。韓国は高さがありフィジカルも強い。だったら佐々木ではなく渡辺剛(22)[FC東京]を右CBに起用すべきだった。

 空中戦を得意とし、フィジカルコンタクトにも強いだけでなく、マッチアップするナ・サンホ(23)とは、FC東京のチームメイトだからだ。お互いにプレーの特徴を知っているのはアドバンテージと言える。

 改めて言うまでもないが、サッカーは攻守が瞬時に入れ替わるスポーツである。このため守備陣だけで守れるものではない。前線からのプレスに連動して、「どこでボールを取り切るか」――それが効果的なカウンターになり、森保ジャパンのテーマでもある。

 その意味で第2戦の香港戦後、所属チームでも前線からのハイプレスを実戦している小川航基(22)[水戸ホーリーホック]、田川亨介(20)[FC東京]、仲川輝人(27)[横浜F・マリノス]のトリオのほうが効果的だ、という原稿を書いた。

 上田綺世(21)[鹿島アントラーズ]、鈴木武蔵(25)[コンサドーレ札幌]、森島司の3人は、プレスに行くものの連動性に欠け、スピードもないために、ほとんど効果がない。

 韓国のプレースタイルは分かっていただけに、スタメンには香港戦の3人を起用すべきだった。小川航基と田川亨介はゴールという結果も残しているだけに、ベンチに置く理由がわからなかった。

 そして決勝点を決めたボランチのファン・インボム(23)[バンクーバー・ホワイトキャップスFC]は、香港戦でも直接FKからゴールを決めるなど、「韓国のピルロ」と称される期待の若手だ。

 彼と、日本戦には出場しなかったパク・チュホ(32)[蔚山現代FC]がゲームを組み立てるため、ファン・インボムにはさらなる警戒が必要だった。

 橋本拳人(26)[FC東京]がいれば当然ながらマーカー役に選ばれただろうが、負傷で離脱したため、これは結果論ではあるが田中駿汰(22)[大阪体育大学学友会サッカー部]を起用するという選択肢もあったのではないだろうか。あるいは畠中槙之輔(24)[横浜F・マリノス]をボランチにコンバートするという手もあったはずだ。

 しかしながら森保監督は、韓国の長所を消すサッカーではなく、日本の長所を出すサッカーで挑み、完敗を喫した。これも初戦の中国戦後の原稿で書いたが、森保監督は試合に勝ったこと以上に、選手が前半は左サイドからの攻めで先制点を奪い、ハーフタイムに選手同士が話し合い、後半は右サイドからの攻撃を活性化した「対応力」を評価していた。

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