13年間義母を介護した城戸真亜子さんが語る「介護と排泄」現場事情

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高性能な日本の介護用品

「日本の介護用品は、世界的に見ても、高性能で技術が進んでいます」

 とは、排泄用具の情報館「むつき庵」代表の浜田きよ子さん。

「排泄センサーは、確かに“あったらいいな”とは思いますが、膀胱の位置は人それぞれで、センサーをうまく当てられないこともあります。目的によりますが、排泄ケアに役立つものは、簡便な商品でもたくさんあります」

 そう述べる浜田さんのおすすめは、まず、ポータブルトイレ。(写真2)を見ていただきたい。「アロン化成」社の「トワレットチェア」。どこからどう見ても椅子にしか見えないが、これ、トイレなのである。また、(写真3)は、「ウチヱ」社の「たため~る」。椅子のように見える上に、折りたたみも可能。

 浜田さんは言う。

「こうしたポータブルトイレは、介護者、被介護者双方に排泄ケアの存在を意識させにくく、心理的な負担を軽減させます。人が見ても気になりません。さらには、ポータブルトイレに使い捨てのトイレ用紙バッグをつければ、バケツを洗う手間も省けますし、臭い対策にもなります」

「ハレルヤワークス」社が発売する「ポイレット」は、その一つ。ポータブルトイレは通常、ポットに水を張り、排泄物を捨てる際には、それを取り外して中身をトイレに捨てる必要がある。が、これをポットにセットするだけで、洗う手間がなくなり、バッグを可燃ゴミとして捨てるだけで済む。

 前出・コンチネンス協会の梶原アドバイザーも言う。

「排泄をすると、自動的に泡が出て消臭してくれるポータブルトイレや、温水洗浄機付きのものもあります。また、男性用の尿器には、逆流防止弁がついていることで、2~3回繰り返し使えるものもあります。こうした商品は、介護保険の特定福祉用具の購入対象商品ですから、保険が適用され、1~2割の負担額で購入することが出来るのです」

 内閣府のアンケートによれば、介護経験者の6割超が、苦労したことは「排泄」であると答えている。

 これらの商品はそうした困難を軽減するもので、対症療法とも言える。症状が出てから“他力”で対処するものだが、他方で予防法、つまり、“自力”で準備が出来るケースもある。

(2)へつづく

週刊新潮 2019年12月12日号掲載

特集「『下の毛』が深刻な問題という『介護と排泄』現場」より

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