「まだ結婚できない男」「俺の話は長い」…評価は高くても、なぜ視聴率は良くない?

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 秋ドラマが終盤に差し掛かり、その評価もほぼ固まった。米倉涼子(44)主演のテレビ朝日「ドクターX」はシーズン6の今回も好評で平均視聴率も18%を超えている(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。一方、阿部寛(55)主演のフジテレビ系「まだ結婚できない男」や生田斗真(35)主演の日本テレビ「俺の話は長い」は評判は高いのに、1桁台の平均視聴率に留まっている。なぜだ?

 秋ドラマの平均視聴率のベスト3は次の通り。(1)テレビ朝日「ドクターX」18・4%(2)TBS「日曜劇場 グランメゾン東京」12・5%(3)日本テレビ「同期のサクラ」10・6%(11月26日放送分まで、小数点2位以下は四捨五入)。4位以下は視聴率が2桁台に届いていない。なお、「相棒」(テレ朝)は10月スタートだが、来年3月まで放送が続くため、秋ドラマとしなかったが、14・9%である。

 関西テレビが制作し、フジ系列で放送されている「まだ結婚できない男」の平均視聴率は9・3%。2006年に放送されたドラマの続編だが、前作は平均16・9%をマークしているので、かなり淋しい。

 脚本を書いているのは前作と同じ尾崎将也氏(59)。阿部が扮する主人公も建築家・桑野信介で無論、一緒だ。ヒロインは夏川結衣(51)から吉田羊(年齢非公表)と稲森いずみ(47)に交代したものの、作風はそのまま。自意識過剰で偏屈だが、なぜか憎めない桑野の不器用な恋が描かれている。

 どれくらい好評かというと、10月8日に初回が放送されると、このドラマの話題がTwitterのトレンドランキングで世界一になった。

 またオリコンのエンタメ情報誌「コンフィデンス」によるドラマ満足度調査「オリコン ドラマバリュー」の、各ドラマの初回を見た時点での満足度も93ポイント(満点は100ポイント)で3位。1位は96ポイントの「ドクターX」、2位は95ポイントの「グランメゾン東京」で、僅差だった。

 ドラマバリューは、ストーリー展開やセリフなどの満足度を調べ、さらにTwitterのツイート量も得点に加味し、ポイント化している。現役世代のドラマへの支持率を表す指標として定評がある。ちなみに夏ドラマのドラマバリューのポイント1位は「凪のお暇」だった。

 日本テレビの「俺の話は長い」もまた評判がいい。主人公は生田斗真(31)が演じる岸辺満で31歳のニート。母親の房江(原田美枝子、60)に頼り切る一方、自己正当化のための屁理屈ばかりこねる男だ。それが許せない姉の綾子(小池栄子、39)と舌戦を繰り広げる。ちなみに綾子はマイホーム建て替えのため、その間、夫の光司(安田顕、45)、娘・春海(清原果耶、17)と房江の家に同居している。

 脚本を書いているのは金子茂樹氏(44)。「もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~」(日本テレビ、2018年)などを書いた実力派だ。

 ホームコメディであるものの、見る側にいろいろなことを問い掛けてくる。例えば、満は世間の物差しで測ると単なるダメ男なのだが、のびのびと楽しそうに生きており、幸せとは何かを考えさせられる。1時間枠ながら30分2本立てで、テンポがいいところもウケている。

 ところが、こちらも平均視聴率は8・3%に過ぎない。一方で、ドラマバリューのポイントは右肩上がりで伸びており、11月16日放送の6話では自己最高の92ポイントに達した。

 どうして世間の評判と視聴率が軌を一にしないのか。極端なストーリーでないと視聴率が上がらず、良質なドラマがつくりにくい残念な時代になってしまったのか?

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