トラブル続く「楽天」の綻び 楽天市場は出店者から不満噴出、楽天Payは障害つづき…

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 3980円以上の買い物は送料無料、ただし負担はテナント側に――。楽天市場が導入しようとしているこんなサービスへの反発が原因で、10月中旬、「楽天ユニオン」が結成された。つい最近も、楽天カードで一部サービスが使えなくなる不具合や、楽天Payが利用できない障害が2度発生。トラブルが続く楽天の綻びを、フリージャーナリストの角田裕育氏が取材した。

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 ユニオンには現在、約400のテナント業者が参加している。代表の勝又勇輝氏が言う。

「送料無料の件以外にも、“扇情的な文言の禁止”などのルールに従わなければ最大で300万円もの罰金を求められ、退店させられる点なども問題視しています。当面の目標は、約4万5000のテナント業者のうちのおよそ4分の1、1万1000の署名を集めることです。送料無料は来年3月から始まるので、それまでには達成したい。また、独占禁止法違反で公正取引委員会に調査を求めました。集団訴訟も考えています」

 テナントに対して強く出る楽天の姿勢は、取り交わす契約にも見てとれて、

〈甲(楽天株式会社)は、必要と認めたときに、乙(出店企業)へ予告なく本規約および本規約に付随する規約の内容を変更することができる。〉

〈本規約または本規約に付随する規約の変更については(中略)乙が出店を継続した場合には、乙は新しい規約を承認したものとみなし、変更後の規約を適用する〉

 とある。わかりやすく言うと、楽天側の胸三寸で、テナント側との契約内容をいつでも一方的に変更することができる、ということだ。

「弁護士資格を持つ国会議員に相談したところ、『こんな酷い規約があるなら、自分なら提訴する。これは国政でも取り上げるべきだ』とアドバイスされました。政治家への陳情活動も行っていきます」(同・勝又氏)

 ユニオンの広報的な役回りを担う木村隆氏(仮名)も、志を同じくするひとりだ。

「ウチは配送料無料になっても、商品の販売価格を値上げすることで乗り越えることはできます。余所さんもそうかもしれませんが、楽天のやり方に怒りを覚え、ユニオンに参加しました。配送料無料を実現すれば、楽天ユニオン加盟者のうち8~9割ぐらいは楽天市場から脱退する構えです。そうなると楽天市場そのものも、いずれ立ち行かなくなるでしょう」

 現状、楽天はテナント結成について、「今後も出店者の個別のご意見に真摯に耳を傾け……」とメディアにコメントするのみ。ユニオン参加テナントへの制裁などは行われていないが、

「正直、店の売上の6割ぐらいは楽天に依存しています。楽天に取引を停止されるとなると痛い……」

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