ク・ハラさん自殺の衝撃、K-POPの異常事態を厳しい視線で伝えた欧米メディア

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24時間監視されるアイドルたち

 英デイリーメール紙(11月25日付)は、ファンダム(ファンコミュニティ)がもたらすプレッシャーについて、次のように言及している。

「ファンダムが支える業界において、大勢のK-POPスターは外見や振る舞いが完璧でなくてはいけないという大変な重圧を背負っている。ファンダムは、組織化されたファンの集まりだ。好みのスターがチャート上位を獲得するために大金と時間を費やすと同時に、ライバルに対する攻撃も行う。その見返りにスターたちは、注意深く行動しなくてはいけない。期待に背いたり、ファンダムを裏切ったりすると、今日の熱心なファンが明日には悪意に満ちたアンチファンになり得る」

「また物議をかもす振る舞い、例えばSNSでの失言から公式の場で微笑むのを忘れるようなことまで、何年にもわたって非難され続ける」。

 同紙は続けて、「アイドルは金魚鉢のなかで暮らしているようなものであり、24時間ハッピーな表情で健全に振る舞わなくてはいけないプレッシャーに晒されている」という韓国人コメンテーターの発言を紹介。こうした問題は韓国に限らず世界中のセレブに共通しているともいえるが、「世界トップのネット通信速度とスマートフォン使用率で高度に情報網化され、同時にまた均質さを求める圧力も強い韓国では、いっそう増幅される」との見解を載せた。

「最も成功した文化輸出」につきまとう陰

 米紙ニューヨークタイムズ(11月25日付)も、「K-POP現象はYouTube、Twitter、InstagramといったSNSで広く拡散されているが、そこではスターたちへのファンレターとともに、ルックスからプライベートな生活まで、あらゆることに対するネットのバッシングが殺到する」と解説。一方ワシントンポスト(11月24日付)はソルリとク・ハラの2人について、「女性歌手はデートはおろかリアリティのある生活もすべきでなく、代わりに厳格な規範に従わなくてはいけない業界の一員だった。2人はプライベートな生活を厳しくチェックされた上、憎悪にあふれたネットのコメントの標的になった」と伝えている。同紙はまた「K-POPスターの死は、いかに韓国の司法制度が女性をないがしろにしているかの新しい警告」と題した現地ジャーナリストの寄稿を取り上げ(11月27日付)、韓国で広まりつつある女性問題としての認識も紹介している。

「韓国で最も成功した文化輸出」(ニューヨークタイムズ11月25日付)とも称されるK-POP。その裏側に潜む闇に、世界の厳しい目が向けられている。

高月靖(たかつき・やすし)
ノンフィクションライター。1965年生まれ。兵庫県出身。多摩美術大学グラフィック・デザイン科卒。韓国のメディア事情などを中心に精力的な取材活動を行っている。『キム・イル 大木金太郎伝説』『独島中毒』『徹底比較 日本vs韓国』『南極1号伝説』など著書多数。

週刊新潮WEB取材班編集

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