「八海山」ラベル巡る騒動 “無断でグッズに転用された” 篆刻家が著作権を主張

社会 週刊新潮 2019年11月28日号掲載

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 日本酒は麹、水を用いて米を発酵、分解させることで作られるが、左党が手に取るための“外見”も重要だという。酒のラベルを巡り、著作権バトルを繰り広げていたのは「八海山」。お相手は、天皇陛下とも関わりのある著名な篆刻(てんこく)家だった。

「夫の芸術作品が勝手に安っぽいものに利用されることが本当に許せないんです」

 そう語気を強めるのは、篆刻家・古川悟氏の妻、香奈枝さん(59)だ。

「夫が作品にかける労力と時間は並大抵のものではありません。それがあんな風に使われるなんて……」

 怒りの矛先は「八海山」の製造で知られる新潟県の老舗、八海醸造株式会社。その概要に触れる前に、まずは古川氏についての説明が必要だろう。

 古川氏は1929年、新潟県の上越市に生まれた。20代で印章を作成する篆刻に出会い、95年には、当時皇太子だった天皇陛下の蔵書印を手掛ける。他にも田中角栄元総理の雅印や東京大学総長印などで知られ、98年に没するまで、その世界で数々の作品を残した人物である。

 その古川氏が八海醸造の先代、南雲和雄社長と出会ったことが今回のトラブルの発端となった。

 香奈枝さんが続ける。

「79年、夫が知人に紹介され、自家用酒のラベルを作ってくれと言われたのです。また、82年には“良い酒には良いラベルがないと売れない”と言って商業用としてラベルデザインを依頼されました。90年も同様で、それぞれ違う作品を渡しています。いずれも、酒のラベルとして使う約束でした」

 ところが、古川氏の没後、それらが“酒”以外に使われるようになる。

「現在まで、Tシャツやトートバッグ、お店ののれんや果てはまんじゅうなどに使われていたことが分かりました。私は何度も担当者に“約束と違う”と伝えたのに、はぐらかされるばかりだったのです」

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