ラグビー「花園」常連校それぞれの言い分 おかしくないか「東福岡20連覇」

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「助っ人外国人」

 そこで、当の東福岡ラグビー部の藤田雄一郎監督に実態を尋ねてみると、

「部員は124人で、うち県内出身者の割合は8割を超えています。レギュラーメンバーに占める割合も同様です。県内の生徒はスカウトすることもありますが、県外の生徒は自分から志願してくるケースが多いですね」

 地元出身者が多い事情を、スポーツライターの直江光信氏が解説する。

「福岡県にはかつての強豪・新日鐵八幡があり、今も三つの実業団チームがある。東京以外でこれほど多くの社会人チームを抱えている都道府県はないので、小・中学校からラグビーが盛んなんです」

 片や、“ラグビー不毛地帯”と呼ばれ、県内の中学校にラグビー部は僅かという栃木の代表校はどうだろう。

「県内出身者は2割ほどですが、高校は自分の意志で選ぶべきだと思うので、私は中学生を勧誘しません」

 と話すのは、国学院栃木ラグビー部の吉岡肇監督だ。

「授業料は要らない、大学の面倒も見ますと誘われて入った生徒は、主体性がないから壁にぶつかったら脆(もろ)い。県内には、スカウトで全国から強い生徒を集めるところもあるようですし、即効性を求めれば、デカい体の助っ人外国人を入学させればいいが、私はしません。それでも他の高校に我が校が勝ち続けているのは、部員たちが主体性を持ってラグビーに対する情熱を持ち続けているからだと思います」

 野球やサッカーと異なり、競技人口に偏りがあるラグビーでは、常連校といえど各々事情は異なる。ワールドカップで生まれた熱狂を受け止める土壌は、まだ道半ばというわけなのだ。

週刊新潮 2019年11月28日号掲載

ワイド特集「女と男の名誉」より

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