韓国人観光客激減で長崎「対馬市」に漂う絶望感 焼き肉屋と民宿経営者が実情を語る

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 過去最悪と言われる日韓関係の影響で、10月に日本を訪れた韓国人旅行者は、前年同月比65・5%減と落ち込んでいる。「デイリー新潮」では9月末(9月25日配信)に、韓国人旅行者が多いことで知られる長崎県対馬市の惨状を報じた。それから2カ月。今、対馬はどうなっているのだろうか。

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 国境の島・対馬市は、韓国・釜山から49・5キロしかなく、高速船だとわずか70分で着く。そのため、対馬は韓国人にとって日帰りもできる海外渡航先として人気だった。2000年に韓国の海運会社が釜山~対馬(比田勝港・厳原港)間の定期運航を始めた時、韓国人観光客は年間7500人ほどだったが、11年にJR九州高速船や韓国の海運会社も乗り入れると、右肩上がりで増加。11年に4万6000人だったのが、12年は約15万人、13年は18万人を突破。年々増え続け、昨年は40万9882人と40万人の大台を超えていた。

 韓国人観光客の島内消費額も右肩上がりで、12年の消費額は33億3100万円。17年は約35万6000人の来島で、79億4100万円だった。このうち、化粧品や医薬品などの土産物の購入費は51億4800万円に上った。対馬市の人口は3万503人(19年8月)。そこに年間約41万人の韓国人が訪れるというのだから、対馬の経済は韓国人観光客で成り立っていると言っても過言ではないだろう。

 ところが、今年7月に、日本が韓国に対して半導体材料などの輸出管理を厳格化すると発表してから、韓国人観光客が激減したのである。

 対馬市観光商工課によれば、

「7月は、前年同月が約3万4000人だったのが、4割減の約2万人、8月は前年同月が約4万人で、8割減の約8000人まで落ち込みました。9月は、前年同月が6万4000人で、9割減の6700人、10月は前年同月が7万2000人でしたが、9割以上減となる6000人まで落ち込んでいます。11月も同様の落ち込みとなりそうです。対馬の比田勝港では5社の海運会社が運航していましたが、すでに2社が運休。厳原港は2社の運航でしたが、2社とも運休しています」

 比田勝港では、12月からさらに2社が運休するという。運航を続けるのは、JR九州高速船だけとなるが、

「当社は、福岡~釜山と、対馬(比田勝港)~釜山の2つの航路を持っていましたが、日韓関係悪化の影響で、8月中旬から対馬~釜山便は、福岡~対馬~釜山という航路に変更しました」(JR九州高速船企画部)

 1日2往復していた対馬~釜山便は、福岡から対馬経由の釜山便の1往復になった。日韓関係が悪化する以前、5社が運航していた比田勝港~釜山便は週に40便ほどあったが、12月から7便だけとなる。

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