神社で「二礼二拍手一礼」は伝統的な作法ではない 宗教学者が教える“しきたり”の嘘

国内 社会 2019年11月15日掲載

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 初詣などで神社に参拝するときは、「二礼二拍手一礼」が一般的な作法として知られる。この作法をイラスト入りで紹介している神社も少なくない。だが、宗教学者の島田裕巳氏によれば、これは伝統的な作法ではないというのだ。

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 神社巡りといえば、高齢者の老後の楽しみと言われものだが、最近は、30~40代の女性の参拝者が目立つようになった。神主から朱印と墨書をいただく、いわゆる「御朱印ガール」と呼ばれている人たちだ。彼女たちは、参拝する際は「二礼二拍手一礼」を頑なに守っているが、

「彼女たちより年輩の人たちから見れば、この作法に違和感を覚える人もいるはずです」

 と語るのは、先日、『神社で拍手を打つな!』(中公新書ラクレ)を出版した島田氏である。同書では、神社の参拝作法や除夜の鐘、初詣など、日本人のしきたりについて解説している。

「昭和の時代は、二礼二拍手一礼はそれほど広まってはいませんでした。以前の参拝作法は、基本的には、両掌を顔や胸の前で合わせて拝む合掌でした。今でも、合掌して参拝する人もいます。二礼二拍手一礼だと、形式だけで終わってしまう。心の中で祈る間が、この作法は含まれていない。だから、物足らないと思っている人は多いのではないでしょうか」

 島田氏は、最も美しい形の参拝として、黒澤明の映画『姿三四郎』(1943年)のワンシーンをあげる。

「三四郎は、村井半助という他の流派の年配の柔道家と対戦しますが、試合前に近くの神社を通りかかったとき、半助の娘が、神社の拝殿の前で一心に祈りを捧げている姿を目撃します。娘は着物姿で、下駄を履き、からだをその上に沈め、目をつぶりながら手を合わせ、懸命に祈っていました。映画の舞台は明治時代ですが、当時、神社に参拝するときは合掌したことがうかがえます。映画を見ればわかりますが、この祈りの姿は美しいですね」

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