「私、失敗しないので」? 天皇即位の国民祭典で圧巻の芦田愛菜 「どんな役でも芦田プロ」というスゴみ

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「どの役も家なき子」と呼ばれた安達祐実と、「どの役も芦田プロ」を求められる芦田愛菜

 芦田の立ち位置を考えるにあたって、比べてみたいのが元名子役・安達祐実である。目鼻立ちがパッチリとした童顔と、幼い声は38歳になった今も変わらない。奇跡のアラフォーとしてメイク特集が組まれたりもしている。でも「家なき子」で一世を風靡した後は「どの役も家なき子に見える」と言われ続けて悩んでいたという安達。できちゃった婚にヌードでの映画出演、母親のヌード写真集出版など、まさに過去の名子役たちが通ってきた苦しい道をたどった時期もあった。

 当時の安達に限らず、「どの役もキムタク」「どの役も石原さとみ」など、役柄が変わっても演技が変わらないように見える俳優たちはバカにされがちだ。といってもキャスティング側も、そのオンリーワンの存在感を見込んでいるからこそ起用する時もある。すべて俳優のせいにするのは酷だろう。しかしそんな理不尽な運命を幼くして背負ったのが、安達だった。そんな安達は過去の自分を重ねてか、芦田を気にかけていたという。しかし今や芦田に至っては、むしろ「どんな役も芦田プロ」を求められているのではないかと感じるのである。

 いついかなる時も、冷静に、正確に、知性を感じさせる役割を全うすること。芦田にプロとして求めるのは、「私、失敗しないので」と宣言するドクターXのような安定感ではないか。「子どもらしさ」より「大人顔負けの知性や冷静さ」が必要とされる役回り。15歳にして、あるいは20代を見渡しても、なかなかそういう立ち位置の女優はあまりいない。例えば芦田と同い年の子役出身者では、本田望結がいる。本田に感じるのは、「発展途上の可愛らしさ」だ。安達や宮崎あおいなど、子役出身の女優たちが10代の時に求められていたものと同じである。そう考えると、今の芦田の立ち位置はやはり異質に見える。どちらが良いというのではない。でも芦田の代わりは今のところ、他の子役出身者には誰もできない。それは芦田にとって、幸か不幸かはわからない。どんなにしっかりしていても、多感な年頃の少女であることには違いないのだから。

 先の祭典では見事に役を務めあげ、「芦田プロ」の名を不動にした彼女。気丈な表情のかげに、相当な重圧もあっただろう。失敗が許されないあの場において、絶対に失敗しない人間を選ぶなら、芦田ほどうってつけの人選はなかった。ただ、「マルモリダンス」を踊っていたころのような無邪気な笑顔を、年相応にのびのびと見せてくれる日は来るのか心配になったのも事実である。

(冨士海ネコ)

2019年11月14日掲載

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