金融機関がすすめる「退職金プラン」に死角? 「投資はプロまかせ」が危険な理由

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金融機関がおすすめする「退職金プラン」の落とし穴

吉田さん:退職金で住宅ローン返済をするとして、それ以外にどう使おうか悩んでいるんですよね。

山本先生:退職金を上手に活用すると、資産形成につながりますよ。

吉田さん:やっぱり資産運用ですか。自分で退職金をうまく運用する自信がないから銀行に相談しようと思ってます。資産運用のプロに頼んだほうが安心ですよ、やっぱり。

山本先生:銀行コンシェルジュにお願いしたら、おそらく「退職金プラン」への加入をすすめられますね。例えば、1千万円を半年間運用してくれるという商品。金利はなんと5%で利息12万5千円付くという物もあります。税引き後でも、10万円ぐらい手元に残ります。

吉田さん:5%ってすごいですね。

山本先生:1千万円の内訳としては、500万円ほどが定期預金が組まれます。ちなみに通常、定期預金金利は、0.5%ぐらいです。つまり5%という数字は格別、まさに退職金プランですよね。

吉田さん:退職金プラン最高だ!!

山本先生:……と乗り気になったところで、もう半分の500万円はどうするかというと「資産の成長の為、投資信託に入れておきましょう」となりますね、おそらく。もちろん、上手く運用できれば運用益で増やすことができますが、それは加入時点では分かりません。それよりも、この投資信託の購入で3%手数料がとられています。なんと手数料だけで15万円払っていることになります。

吉田さん:利息分が12万5千円で、税引き後手元に残るのが10万円って言ってましたよね?

山本先生:そうです。つまり、金利収入は10万円ですが、15万円の手数料でマイナスです!

吉田さん:本当にそんなことがあるんですか?

山本先生:あるんですよ。例では実在の銀行の商品をもとにしました。0.5%しか金利がつかない今、5%の金利は一瞬得をするように見えますよね。でも、その反面、投資信託の手数料でコンシェルジュが儲かる仕組みなのです。だからこそ、この商品が成り立つんです。

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