馬淵澄夫はなぜ山本太郎と勉強会を立ち上げたのか 警戒する立憲民主が妨害?

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立憲民主は疑心暗鬼?

 馬淵氏の野党結集シナリオには、じつはまだまだ二の矢、三の矢がある。それは、一つの政党が唯一の道ではないというもの。再び馬淵氏。

「私は足掛け20年二大政党制を信じてきたが、成熟社会の中で、多様な価値観を一つの政党で補い二大政党に収れんして行くのは難しいのかもしれない。いまの政権だって自公連立。野党がもちろん一つの政党になるに越したことはないが、できないなら連立政権でもいいじゃないか。来春をめどに野党の連立政権構想を示す。二大政治勢力でもいい。立憲や国民がいろいろあってすぐに一緒になれないなら連立でも国民に選択肢を示して政権交代できる」

 その際に山本氏が生きてくる。

 一つの政党だと代表がいて幹事長がいてとポジションが限られ、役職に就けなかった者同士のパワーバランスや軋轢でいがみ合ったりする。しかし、多党連立なら多くの役者がズラリ横並びでそれぞれ個性や存在感を示せる。

「山本さんは山本さんらしく発信していまやっておられるように全国を回って対話をやる。そして票をとってくる。一方で経験的に言えばリーダーはやはりこの人みたいな、野党みんなでそういう理解をしながら進めて行く…、連立政権構想とはそういうことです」

 減税研究会の第一回目の会合。広く野党への呼びかけに対し現職議員は22人が参加したのだが、なんと、立憲民主党内には通達がばらまかれた。そこには逢坂誠二政調会長と蓮舫参院幹事長の連名があり、他党や他会派の勉強会への参加は党の許可が必要というものだった。馬淵氏や山本氏が主導する野党結集に不満があるのか。それとも、立憲の議員が山本人気や馬淵氏の減税政策に引き寄せられ離党者などが出るという疑心暗鬼があるのか。だが、逢坂氏は「自分は通達の存在を知らなかった」と党内の若手に話しているという。では、一体誰が書いたのか、ここでも度々あった野党間の感情的しこりなどが相変わらず背景にありそうだ。

 ただ、馬淵氏も山本氏もそんなハプニングは予想の範囲内だ。次期総選挙へ向けて野党が一つの政党であれ、連立であれ、とにかく結集しなければもうあとはないのだから、特にリアリストの枝野代表や玉木代表らはそこへ向かって党内をリードして行くはずと馬淵氏らは考えている。そうでないならそう持って行くのが役目と覚悟している。

 山本氏は、研究会のあとの会見で「(通達は)脅威と思っているんじゃないですか」とチクリ。その分をカバーするように馬淵氏が「野党が結集していく軸として、消費税減税を次期衆院選に向けて公約にしたい」と大所高所から立憲へラブコール。役割分担を早速披露した。

 そうした中、11月4日に馬淵氏が奈良で単独の自動車事故に遭い大ケガをしたとの一報が私のところに入った。驚き、確認したところ命に別状はないとのこと。安堵した。ただ全治1ヶ月の重傷。妻の運転する車で政策意見交換の会合の帰りに道路脇の崖の壁への衝突事故だった。本人は「2週間で退院する」と話しているという。野党結集のキーマンとしてなくてはならない存在。We hope 「You'll be back」。(了)

鈴木哲夫/ジャーナリスト

週刊新潮WEB取材班編集

2019年11月7日掲載

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