即位の礼パレード延期は美智子さまの強いご意向…令和流が霞む「二重権威」の懸念

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両陛下が霞む懸念

 が、ここには別の“懸念”が生じかねないと指摘するのは、さる皇室ジャーナリストである。

「今回は天皇皇后両陛下のご心配よりも、お誕生日の祝賀中止とあわせて美智子さまの強いご心痛がクローズアップされてしまいました。宮内庁にそうした意図がなかったにせよ、結果的に今なお、上皇ご夫妻、とりわけ美智子さまのご意思が強い“影響力”を持っていることが露わになってしまったわけです」

 先ごろ両陛下がお召し列車に乗られた際、立ち続けて沿線の人々にお手を振られていた上皇ご夫妻の“平成流”と比べ、お手振りが少ないと嘆く声が上がったことは週刊新潮でも報じたが、これに限らず、平成流はいわば両陛下への「ハードル」となっている側面も否めまい。

「パレードが延期されるのはやむを得ませんが、その根拠として平成の災害を持ち出して比べるようなことになれば、御代替わりを迎えた意義が薄れてしまうのではないか。そんな懸念が湧き起こるのも至極もっともだと言えます」(同)

 22日、儀式のあった正殿松の間に上皇ご夫妻のお姿はなかった。それは、

「いわゆる『二重権威』が生じかねないという不安が宮内庁にはあり、この点はもちろん上皇ご夫妻も御心に留めておられます。5月1日に行なわれた『即位後朝見の儀』にも参列なさらず、来月の『大嘗祭』もまた、象徴としての新陛下がなさる儀式であることから、お出ましにはなりません」(前出関係者)

 が、その一方で、10月23日に赤坂御所で催された茶会には、古いお知り合いが多く集まるため上皇ご夫妻も参加された。主役である両陛下が霞んでしまいかねないというわけで、

「こうした状態が続けば、長期にわたり療養中でありながら、お元気な姿でご公務に臨まれている皇后さまのご体調に影響が出ないとも限りません。何しろ平成の時代は、お世継ぎやご公務のあり方をめぐって上皇ご夫妻との“すれ違い”が生じたこともあり、ご体調は一進一退を繰り返してきました。一時期は宮内庁にも不信感を抱かれていた皇后さまにとって、皇太子殿下(当時)とご実家だけが、お心を通わせられるお相手だったのです」(同)

 療養中には、実父の小和田恆・元外務事務次官からも、

〈今を耐えれば、ゆくゆくは皇后になる時代、あなたの時代が来るのですから〉

 といった趣旨の励ましを受けられていたというのだが、万が一にも“二重権威”が鎌首をもたげるような事態になれば、雅子皇后がご心情を千々に乱されてしまうのは想像に難くない。

“嵐”のようなスケジュールに

 あらためて先の宮内庁関係者が言う。

「パレードが延期されたことで、庁内は目下てんてこ舞いになっています。というのも、11月14日から営まれる大嘗祭まで、わずか4日しかありません。急な日程変更で、準備に追われる職員からは『きつすぎる』と弱音が漏れています」

 そのパレードの前日、9日には皇居前広場で「御即位をお祝いする国民祭典」が催され、「嵐」のメンバーらによるパフォーマンスが繰り広げられる予定である。

「嵐のせいで、図らずも行事が続き、嵐のようなスケジュールになってしまったと洒落まじりに嘆く職員もいます。この祭典への両陛下のお出ましも前向きに検討されていますが、なにしろ夜は急な冷え込みが予想されるため、皇后陛下のご体調が案じられるところです」(同)

 御代替わりから、まもなく半年。懸案を抱えながらも両陛下は、令和の時代を切り開いていかれることになる。

週刊新潮 2019年10月31日号掲載

特集「『二重権威』が露わになった『即位の礼』パレード延期の残響」より

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