日清、サントリー、ロート製薬… 企業がCMに「Vtuber」を起用する本当の理由

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CMの役割は売り上げアップからイメージアップへ

 だが、あの「U.F.O.」のCMをよくよく観てみると、輝夜月の叫び声や、目まぐるしく変わる映像は印象に残るものの、商品の詳細な情報はほとんど何も入っていないという指摘も。インパクトはバツグンだが、これでは宣伝にならない気もするが、それこそが現代のCMに求められるスタイルなのだという。

「以前は広告手法が限られていたため、企業が消費者に商品をアピールするには、どんな商品かをCMで詳しく説明する必要がありました。でも今は、気になるアイテムの情報は自発的に入手し、それ以外の情報はスルーできる時代。取捨選択に長けている現代人は、情報を押し付けるCMを嫌います。そうした背景もあり、CMを“企業と消費者の距離を近づけるための手段”と考える企業も見受けられるようになりました」

 それは若者だけでなく、あらゆる世代にいえることなのかもしれない。

「人気Vtuberを起用することで、ファンである若い世代から興味を持ってもらえるほか、そのキャラクターを知らない世代にも、『バーチャル技術などの新しいことに挑戦し続ける、先進的な企業だな』という印象を持ってもらえる可能性がある。当社が実施するCM好感度調査では、40~50代の方から『Vtuberが出ているU.F.O.のCMは、訳が分からないけど面白い』という意見も寄せられています」

 CMの目的は、視聴者の購買意欲を直接的に刺激して商品の売り上げを伸ばすことではなく、商品や企業に良いイメージを抱いてもらうことに変わってきているのだ。

「キウイのキャラクターが歌って踊る、『アゲリシャス』のフレーズでお馴染みのゼスプリ社さんのCMは、本来のコアターゲットではない女子高生からも支持されました。『アゲリシャス』というフレーズをTwitterなどで活用する女子高生たちは、キウイの売り上げには直接的に貢献していないでしょう。ですが、ゼスプリというブランドのことは面白がってくれている。企業がターゲットを限定しすぎずにプロモーションを行うことで、さまざまな世代に親しまれ、今後の未来顧客を育てることにつながります」

 企業は将来を見据えて、新たなファンを獲得しようとしているのだ。若い世代を取り込む手段として、Vtuberは効果的ということだろう。

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