テレ朝「スーパーJ」のやらせ会見に社内から異論 ここがヘンだよ、完全仕込み疑惑

エンタメ 2019年10月25日掲載

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目立つ不自然なシーン

 テレ朝として会見で膿を出し切った印象を与え、早期の幕引きを図りたい意図があったのは言うまでもない。だが、社内からは「会見での説明以上に、あのVTRには不自然な“演出”が目立った」という異論が出ている。取材に応じたテレ朝の関係者も「多くの疑問が解決されていません」と指摘する。

「会見の内容を要約すれば、『ディレクターが知人に「取材を行う」と声をかけただけ』となります。しかしVTRを見れば、出演者が演技をしているのは明らかです。何よりドラマチックな展開が多すぎます。サラダを買った男性客に取材を依頼したら『女性に告白するための験担ぎ』と説明したわけです。こんなこと、普通はあるわけないですよ」

 男性が女性に告白する場面が放送されたのは、先に紹介した通りだ。しかし、これにも疑問が残る。会見の説明が事実だとすると、「撮影日を教えると、無償で自発的に駆け付けてくれた知人男性が自宅でサラダを食べ、偶然にもディレクターの知人女性に交際を申し込むことが判明。そこで上野駅に一緒に向かい、こっそりと撮影した」ということになる。

 果たしてリアルな取材現場で、こんな“奇跡”が起きるものだろうか。ディレクターが知人の男女2人に対し、「こっそりカメラで撮るから、『恋人として付き合ってください』って告白して、『これは無しで、忘れましょう』と断ってよ」と依頼するほうが、よほど現実的だろう。しかも、5人のうち4人は俳優養成所の生徒なのだ。

「子供2人が“はじめてのおつかい”をする場面でも、店外で母親が子供に指示を与えるところから撮影は始まっており、子供が店内に入るとカメラも後をついていきます。リアルな取材なら、これはおかしいでしょう。完全にリアルな取材なら、子供2人が店内で買い物をしていることに気づいたディレクターが声をかけ、子供たちが『ママに言われて、おつかいをしている』などの説明があり、店外で待つ母親に取材を依頼する、という順番になるはずです」(同・関係者)

 関係者によると、テレ朝は社員や制作スタッフに対し、「チェックしたが分からなかった」と説明しているそうだ。「企画を請け負ったテレビ朝日映像のチーフディレクターとプロデューサー、テレ朝のデスク」らは3回の試写を見ているが、「不適切な演出には気づかなかった」という。だが、これも事実とは異なる可能性があるという。

「私たちも映像を作るプロです。そもそも3月にオンエアされた時点で、『あのVTRはおかしくなかったか?』という疑問の声が上がっていたんです。そして内部調査が行われたのですが、ディレクターが否定してうやむやになったようです。会見が終わってからも、営業サイドから『会見の内容だけでは終わらないのではないか』と危惧する声が出たほか、大手広告代理店からも会見を疑問視する問い合わせがあったそうです」(同・関係者)

 ディレクターの個人名を検索エンジンに入力すると、ウィキペディアがヒットする。閲覧すると「日本の映画監督」、「映画プロデューサー」という肩書になっている。「ドキュメンタリー作家」というような紹介はない。

「彼は49歳で、派遣会社に所属。そこからテレビ朝日映像に派遣されていました。テレ朝では歌舞伎町潜入ものなども担当していますので、他にもやらせに手を染めた可能性があります。会社の会見は問題を矮小化しようとしていましたが、ディレクターの『番組制作に自信を失っていた』という説明だけは本当だと思います。あの時間帯の企画は、視聴率獲得が至上命題。プレッシャーは厳しかったはずで、だからこそ、彼のVTRはやらせが常態化していたのではないかと心配です」(同・関係者)

 ウィキペディアにはディレクターの監督作品として、6本の映画が紹介されている。ストレスに耐えかねて、映画を撮影するような感覚で、ドキュメンタリーのVTRを撮ってしまったのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

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