企業がサッカーよりラグビー出身者を欲しがる理由 川淵三郎氏も称賛のワンチーム思想

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 なにしろ、2011年大会までは24戦して1勝。そのうち1995年大会では、オールブラックスことニュージーランドに17対145で敗れ、それが今もなお最多失点記録になっている。「参加することに意味がある」にしても、哀しい現実ばかりがそこにあった。

 15年大会で南アフリカに奇跡の勝利を遂げ、トータルで3勝したものの予選敗退。ラグビー伝統国と強豪国・地域を指す「ティア1」。世界ランク順に言えば、ニュージーランド、ウェールズ、イングランド、アイルランド、南アフリカ、オーストラリア、フランス、スコットランド、アルゼンチン、イタリアが優遇されるラグビー界特有の“サロン”の扉は重く堅いままだった。

 今回のW杯で日本は、このうちアイルランド、スコットランドと同じ予選グループに入った。最低でもどちらかを倒さなければ悲願のノックアウトステージに進むことはできない。それが蓋を開けてみれば両国を撃破して予選を首位通過したのだ。

〈日本の観衆を有頂天にさせたシャンペン・ラグビーだった〉〈間違いなく美しかった〉(ニュージーランドのメディア「stuff」)

 スコットランド戦で見せた「タックルされながらもフォワードとバックスが三つのパスを繋いで得た2トライ目」などはこんな風に評している。シャンペンとはこの場合、選手が湧き出るように現れて繋ぐ、くらいの意味になる。

 スポーツライターの斉藤健仁氏によると、

「オールブラックスのスティーブ・ハンセンHC(監督)は、“日本はアイルランド、スコットランド、サモアにも勝った。とても調子がよくラグビーを盛り上げている。(日本とは決勝トーナメントが)別の山で良かった。日本は『ティア1』と見做すべきだ。世界トップ8に入っているし、質の高いラグビーをしている。日本は自分たちを誇るべし”と述べています。このように、日本は世界中から賞賛を受けているのです」

 世界は今回の結果を冷静に受け止め、上を下への騒ぎから平静さを取り戻そう、保とうとしているかのようだ。

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