【産後クライシスルポ】離婚率「子どもが0歳~2歳の夫婦」が最も高いワケ

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「そんなことを考える暇があったら、もう少し家事できるよね」

「もともと離婚した夫には、長い間付き合っていて同棲までしている恋人がいて、その女性ときちんと別れる前に、わたしは告白をされたんです。それで付き合い始めたものの、『別れる、別れる』といいながらも、その女性とはなかなか別れずにいたので、根本的に自分は悪いことをしたっていう気持ちがあって。

 友達に相談したら『別にいいじゃん、結婚してたわけじゃないんだから』って言われたけど、わたしは『この人って信じられない』っていう気持ちがどうしても拭えなかったんです。彼女がいるのに、他の人を好きになって、ちゃんと別れないで……っていうのが。自分にも返ってくることかもしれないって」

 交際当初から心に引っかかりを覚えていたという美智さんだったが、それでも優しくて面倒見が良く、時には美智さんの弁当までも手作りしてくれる恋人との交際は続いた。そうして、やがて交際5年目を超えたところで、彼から「来年は結婚したい」と結婚の意思を示され、その矢先に妊娠も判明。すぐに入籍し、一緒に暮し始めることになった。

「『子どもがほしい』っていうことは、ずっと言っていたんですけど、この人とずっと一緒にやっていけるかっていうのは不安だったんです。というのも、彼は優しいけれど、嫌いな部分もすごくいっぱいあって。

 でも、むしろこんなに嫌なところがいっぱいあるのに長い間嫌いにならないのは、逆にずっと一緒にいられるのかも?って(笑)。価値観はまったく合わないけど、それで揉めても、最終的には彼が折れるっていう関係性だったので、結婚してもなんとかなるかなぁと思ったんです。

 けど、結婚した途端に、彼は一切折れなくなったんです。妻の言うことなんて聞けるかよっていう態度で」

 家事で至らない部分――例えばゴミを捨てた後にゴミ袋を替えていないことなどを目ざとく見つけて指摘してきたり、またニュースを観ている時に、感想を漏らすだけでも「そんなことを考える暇があったら、もう少し家事できるよね」などと言われるため、美智さんはだんだんと家の中で萎縮するようになってきてしまったという。「釣った魚に餌はやらない」美智さんの元夫は、まさにそれを地でいくタイプだったようだ。

「そもそも、籍を入れに行くっていうときも、すっぽかされたんです。市役所の前で待ち合わせしたんですけど、1時間経っても来なくて、連絡も取れない。結局、家で寝ていたんですけど、今までそんなことはなかった。

 けど、『前はこうじゃなかったじゃん』って言っても、『そんなつもりはない』とか、『恋人同士じゃないんだから、そんなに気は遣えないし、仕事で気を遣ってるのに、家でまで気を遣わないといけないの?』って。

 けど思えば彼は、自分のお母さんに対してもそんな感じなんですよ。『うん』と言えばいいことでも、いちいち否定的な一言を付け加えて、嫌な感じの受け答えをする。なのに、お母さんはどれだけぶっきらぼうな扱いをされても、ニコニコしてるんです。

 聞いたらお父さんも、完全な亭主関白なタイプだったらしくて。もうお亡くなりになってるから、わたしは会ったことはないんですが、彼もお父さんのそういう部分を嫌って、『あんな父親みたいには、なりたくない』って言ってたのに、まったく同じじゃんって。

 結婚するまでは、まるで彼のお母さんみたいに優しかったのに、結婚したら、話に聞いていた彼のお父さんみたいな感じ。小言ばかり言う、男尊女卑の意地悪な人になってしまった」

 夫婦のモデルが自分の両親にあることは決して珍しくない。けれども憧れではなく、嫌悪を抱いていたのに、そっくりそのままのモラハラ的な言動に倣ってしまうのは皮肉で悲しい話だけれども、受ける側にとっては関係のないことだ。

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