タワマン住人にとって武蔵小杉は他人事ではない 台風と地震で起こる最悪の事態とは ?

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台風で震度1か2

 タワマン住民は、避難所には全員入れない?

「タワマンは、台風や地震に強いと言われていますが、台風などで大規模な洪水災害が起こった場合、その住民は自治体の避難所に全て入れないのではないかという懸念があります。都心エリアにあるタワマンの管理組合理事長によれば、避難所は、耐震性能の弱い木造住宅や老朽マンションの住民のみをカウントして、収容人数を想定しているとしか思えないと心配していました。タワマンは1棟に1000人以上住民がいて、近隣の避難所には収容しきれないそうです。結果、“有事”には、タワマンの共有施設やエントランスホールなどが避難所になる可能性があります」(同)

 台風に強いと言われるタワマンだが、今度の台風19号では、こんな現象が起こっていた。

「東京・赤坂にあるタワマンの43階に住んでいる人が、台風が上陸したときの部屋の様子を動画に残しています。それを見ると、台風で部屋が揺れているのです。『震度1か2でしょうか、ずっと揺れています』と言っていましたが、地震で震度1や2はたいしたことありません。揺れても1分かそこらですからね。ところが台風の揺れは、2、3時間も続きます。三半規管の弱い人は、気分が悪くなってしまいますよ」(同)

 タワマンは本当に大地震でも大丈夫なのか。

「2011年の東日本大震災で、長周期地震動が注目されました。これは大きな地震で発生する揺れが1往復するのにかかる時間、つまり周期が長い地震で、1回の揺れが5秒以上、横に大きく揺れます。この長周期地震動は、タワマンのような超高層建築において、特に危険が大きいそうです」

 この長周期地震動については、建築基準法では考えられてはいない。国土交通省は、長周期地震動の対策について、16年に通達を出しただけだ。

「恐らく建設業界では、最近建てられた高層マンションに関しては長周期地震動に対応していると思われます。もっとも、16年に発生した熊本地震では、特殊な揺れが観測されました。“長周期パルス”と呼ばれるもので、渦巻きのようにぐるぐる回って3秒ほど揺れる地震動です。この長周期パルスについて、17年にNHKが『シリーズMEGACRISIS巨大危機Ⅱ~脅威と闘う者たち~第1集 都市直下地震 新たな脅威“長周期パルス”の衝撃』を放送しています。番組の中で、工学院大学の久田嘉章教授は、『(タワマンについて)本当に条件が悪いと、倒壊する可能性はゼロではなかった』とコメントしています。この長周期パルスは、活断層の上に発生するのですが、東京だと立川市周辺で、大阪では御堂筋です。御堂筋にある本町には、タワマンが次々に建っていますから、この辺りは危険地帯と言えるかもしれません」(同)

週刊新潮WEB取材班

2019年10月21日掲載

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