消費者庁が社名公表「LED高速通信」 悪徳商法で31億円集めた女性実業家

ビジネス 週刊新潮 2019年10月17日号掲載

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 その女性実業家の自宅は、東京・有明のタワーマンションにある。日本人の彼女は、中国の漢方薬メーカー日本法人の役員を務める傍ら、仮想通貨事業も手掛けているという。そんな彼女が、2年前まで社長を務めていた企業がこの度“悪徳企業”と名指しされたのだった。

 消費者庁は9月27日、東京・丸の内に本社を置く「LED高速通信」(LED社)への投資やセミナーの参加を注意喚起した。消費者庁消費者政策課財産被害対策室の担当者によれば、

「2017年4月から約2年で、LED社への苦情や相談が全国の消費生活センターに64件寄せられました。調査した結果、事業の内容に実態がないと判断し、これ以上、被害者を増やさないためにも社名公表に踏み切りました」

 16年設立のLED社の主な事業は、通信や照明機器の販売など。HP上で会長と社長は男性になっているものの、登記簿上は冒頭の女性実業家も代表取締役に名を連ねている。

 対策室の担当者が問題の手口を明かす。

「LED社は各地でセミナーを開き、LEDの光を1秒間に10億回点滅させることで、電波を使わない無線通信が可能になったとし、その通信機器を開発して特許を取得したと説明していたのです」

 LED社は通信機器32万4千円と加盟店協力金21万6千円の計54万円を1口とし、1次募集では利益の10%を按分すると約束。約3年間でおよそ5300人から31億円以上を集めたという。

 対策室の担当者が続ける。

「我々の調査では、通信機器自体が製造された事実はありませんし、特許も取得していません。今後も調査を継続しますが、情報提供を行うなど警察当局とは連携しています」

 なぜ、人は騙されるのか。

「あの会社の事実上のオーナーは、有明在住の女性実業家だと聞いています」

 こう語るのは、かつてマルチまがい商法を手がけていた人物だ。

「物が介在する詐欺はその時代に人々が関心を抱く商品を選びます。バブル期は日焼けマシーンなど大きくて豪華な物が使われ、健康志向が高まり始めた90年代はサプリメントや水素水が主流でした。2000年代はエコやネット通信というキーワードに注目が集まっている。そこで今回のケースは、最先端のLEDを選んだのでしょう」

 LED社は“担当者が会社にいない”と繰り返すばかりで、女性実業家の自宅も不在だったが、全国でセミナーの開催を続けているので、ご用心を。