「ざんねんないきもの」シリーズ大ヒット、「高橋書店」創業家父子のドロ沼訴訟合戦

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社員が大量退社?

 そこで、息子の政秀氏にも言い分を尋ねてみると、

「まったく違います。私は、これまでの父の経営手腕を認めてきたし、世襲ではなく実力のある人間が次期社長になることについても異論などありません」

 と、父親の主張を全否定。

「私が裁判を起こしたのは、裸の王様になってしまった父に目を覚ましてほしいからです。2005年に母が亡くなると、父はほどなく中国人女性と付き合い始めました。母の七回忌が済み、私たちに知らせることなくその女性と再婚したのですが、その頃からおかしくなってしまった。まわりをイエスマンだけで固める独善的な人事をするようになり、あげくの果てにその中国人女性を法律上の手続きも経ず役員に迎え入れ、社員より彼女の意見ばかり聞くようになってしまいました」

 また、社内で募ったという上申書についても、

「父が集めた書面には、私のことを批難する定型文があらかじめ書かれていました。みな、社長に逆らったら何をされるか分からないわけで、多くの人は無言でサインしてしまったはず。それよりも、経営に口出しまでするようになった中国人女性に嫌気がさして、大勢の社員が一挙に退社したことのほうがむしろ問題ではないでしょうか」

 次から次へと父への苦言が湧き出てくるが、高橋書店の専務によれば、

「たしかに、業績が不調で賞与が出ず、待遇面の不満から普段より多くの社員が辞めた年もございました。ただし、それは役員人事とは無関係です。上申書の件ですが、そこには自由記述の欄があり、相当数の社員が(政秀氏に対する)批判を記しておりました」

 父子の間では目下、株主総会の是非や職務を停止するしないを争う訴訟が計5件も係属中。高橋書店製の手帳にも書ききれないほど裁判日程が目白押しである。

週刊新潮 2019年10月10日号掲載

ワイド特集「天下の秋の大番狂わせ」より

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