インドネシア「婚前性交禁止令」で日本人観光客も罰せられる可能性

国際 週刊新潮 2019年10月10日号掲載

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 郷に入っては郷に従え。海外へ行く場合、彼の地のルールに従うのは当然だろう。とは言え、この法案が可決すれば若い外国人カップルはインドネシアへの旅行を躊躇(ためら)うかもしれない。

 目下、インドネシア議会で議論されている刑法改正案を巡り、現地でデモが頻発している。反発を呼んでいるのが、配偶者以外との性的交渉の禁止。言い換えるなら、“婚外・婚前性交禁止令”だ。ジャカルタ在住のジャーナリスト・大塚智彦氏によれば、

「法律が成立すれば婚外・婚前の性交渉を行った男女は最高で禁固1年、同棲の場合でも最高禁固6カ月の刑に処せられます」

 実は、インドネシアは以前から婚外交渉を法律で禁じていた。従来は告発者を配偶者に限定して夫や妻が相手の不義を申し立てられるだけだったが、改正では当事者の親と子供を加えてより厳格化しようとしているのだ。なぜ“SEX禁止令”が強化されるのか。大塚氏が続けて、

「インドネシアの人口は約2億6千万人で、その87%ほどがイスラム教徒。世界最大のイスラム国家ですが、他の宗教も認める多様性を掲げていました。今回の法改正は、10月20日に副大統領に就任するマルフ・アミン氏の影響が大きい。彼が国内イスラム教の最高指導者だからです」

 イスラム教が戒律で婚外性交を禁じているのは有名な話だ。しかし、インドネシアは“赤道上で売春街が一番多い国”とも呼ばれ、昨年8月にバスケットボール日本代表の4選手が買春し、帰国処分になったのは記憶に新しい。バリ島で現地のビーチボーイと一夜を共にする日本人女性が少なくないと言われている。新法では外国人も処分対象になる可能性があると報じられているが、果たして大丈夫なのか。大塚氏が言う。

「売春街への捜査で逮捕されるのは、店の女性従業員だけ。男性客は、警察署で説教されて終わりというケースがほとんどで、新法下でも変わりはなさそうです」

 では、バリ島は、

「バリ島の知事や市長など島民の約90%はヒンドゥー教徒です。イスラム教徒よりも性交の禁止にうるさくないので、ビーチボーイズも日本人女性との自由恋愛を楽しんでいるわけです。バリ観光協会の会長は、外国人観光客の激減を懸念して、“外国人同士のカップルが法に問われる可能性はない”と火消しに躍起になっています」(同)

 訪問の際は、くれぐれも羽目を外さぬよう。