小泉進次郎、PR戦略で墓穴 それでも応援する“リア充リベラル”の人たち

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 筆者が小泉進次郎氏の政治姿勢を手厳しく批判し、本サイトでも反響を呼んだ「小泉進次郎『化けの皮』が剥がれた?」(18年10月23日)の掲載から、まもなく1年になる。その間に小泉氏は結婚、そして環境相として初入閣を果たした。が、原発処理水問題への対応や気候変動サミットでの「セクシー発言」など、いまや「ポエム」とも軽んじられる言動の数々によって、大臣就任早々から彼の株が暴落の一途をたどっているのは周知のとおりだ。(文/新田哲史)

 ここにきて、「池に落ちた犬を叩け」とばかりに小泉氏を批判し始める人たちも散見するが、昨年の拙稿でも指摘したように、これまでは、彼の周囲にうごめく有能なブレーンが煙に巻いてきただけの話であろう。

PRのブレーンも隠せなくなった本当の力量

 筆者が昨年の時点で指摘したのは、小泉氏のあまりに技巧的な政界遊泳術の要因のひとつとして、秘書やブレーンにPRやマーケティングのプロを配置していることだった。詳しくは繰り返さないが、公設秘書に二代続けて女性マーケッターを招聘。それも広告業界では、デジタルマーケティングなどで「その人あり」と知られる実績がある人物などで、政治家の個人事務所としては異例なほどPRを重視した体制を取ってきた。また、事務所外では、自民党の小委員会で博報堂出身の若手クリエイターをブレーンにし、政策提案のキャッチコピーにそのアイデアを活用したこともある。

 メディア関係者の間で囁かれる小泉事務所の広報手法の評判とは、だいたい次のようなものが通説だ。SNSでプロ仕様の画像や動画を巧みに使いながらも、露出をかなり戦略的にコントロールする「映え」重視。その裏で、討論番組の出演や単著の出版は控え、PRに精通した秘書が窓口となってメディアをかなり選んできた。しかし、過去に務めた復興大臣政務官や自民党農林部会長などと比べ、「大臣」となればその注目度、メディアの取材攻勢は段違い。小泉氏の政治家としての「本当の力量」を隠せなくなったように見える。

 もちろんブレーンたちは、危機管理も熟知している。小泉株の暴落をなんとか下げ止め、反転攻勢できないか潮目を見極めようとしているはずだ。筆者のこれまでの政治PRの経験上、ネット世論は捨て置き、小泉氏の支持が特に期待できそうな中高年女性に影響力の大きい、テレビでの論調を「勝負所」に見ているようにも思える。

 しかしSNSを起点に、ネットメディア、新聞、そしてテレビへと波及する世論のサイクルは、年々ますます早くなっている。小泉氏の中身のない発言がツイッターで「大喜利」と化した現象についても、一昔前ならネットニュースで取り上げられる程度だったが、今回は、共同通信(9月22日)が早々に記事化して全国の加盟地方紙に配信する異例の事態となった。スポーツ紙、週刊誌は言うに及ばず、テレビでもフジテレビ系の「バイキング」(9月27日)やTBS系の「グッとラック!」(10月3日)で迷言ぶりがとうとう取り上げられてしまった。まさかとは思うが、小泉氏のPRブレーンたちが「騒いでいるのはネットだけ」とタカをくくっているうちに、ダメージコントロールが後手後手に回ったのではないだろうか。

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