巨人「原監督」はクライマックスシリーズで2度惨敗 短期決戦の怖さを振り返る

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 巨人が5年ぶりのリーグ優勝を達成し、気の早いファンは「日本シリーズの相手は西武かソフトバンクか?それとも“大穴”で楽天か?」とボルテージが上がっているかもしれない。

 だが、ちょっと待ってほしい。リーグ優勝をはたしたチームといえども、CSで思わぬ敗退を喫したケースは、過去に何度もあるからだ。巨人も第二次原政権下の2007年と14年はいずれも1勝もできないまま、まさかのCS敗退を喫している。長丁場のペナントレースと違って、ちょっとしたボタンのかけ違いが明暗を大きく分けてしまうのが、短期決戦の怖さでもある。それでは、巨人はどのようにして2度にわたってストレートのCS敗退という悪夢に泣いたのか?両年のCSをプレイバックしてみよう。

 まずセ・リーグの“CS元年”となった07年。ペナントレースは巨人が前年の覇者・中日に1.5ゲーム差をつけて5年ぶりのVを達成した。リーグトップのチーム打率2割7分6厘に、投手も二桁勝利が3人の先発陣、抑えの上原浩治が32セーブと、投打がガッチリかみ合った。

 一方、CSで巻き返しを狙う中日も、シーズンでの対戦成績は12勝12敗と互角。第1ステージでは序盤の速攻で阪神に連勝して、勢いにのった。対して、巨人は第2ステージまで約2週間も実戦から遠ざかるブランクが不安視されていた。

 それが現実のものになったのは第1戦。中日の先発はシーズンで巨人に3戦3勝の右腕・山井大介と予想されたが、落合博満監督は裏をかいて左腕・小笠原孝をぶつけてきた。山井対策で先発・内海哲也も含めて左打者7人を並べた巨人打線は、5回までわずか1得点と空回り。頼みの内海も3回に2点を失ったあと、4回にウッズに2ランを浴び、勝敗は前半で決した。

 逃げ切りを図る中日は8回1死から守護神・岩瀬仁紀をシーズン中3度しかなかった「回またぎ」で投入。以後、落合監督は、3戦とも岩瀬を8回からマウンドに送る短期決戦用の“石橋采配”に徹している。

 巨人は第2戦でも、“常識”の裏をかかれる。1対1の4回1死一塁、川上憲伸の送りバントを想定してダッシュした三塁手の虚をつくバスターの左前安打で1死一、二塁とピンチを広げられたあと、荒木雅博に前進守備の外野の頭上を抜かれ、2点を勝ち越されたのが明暗を分けた。

 そして第3戦は、4回にウッズに逆転3ランを浴びたのが致命傷となった。中途半端な配球で“天敵封じ”に失敗した巨人とは対照的に、中日バッテリーは4番・李承ヨプに対して、あわや乱闘の厳しい内角攻めを行い、無安打に抑えた。2点を追う巨人は9回無死一塁、ホリンズの左飛で代走・古城茂幸が飛び出し、併殺で最後のチャンスを潰す。焦りが生んだ凡ミスは、今でもCS敗退の象徴的なシーンとして語り継がれている。シーズン中からCSを見据え、終盤に無理をしなかった中日に対して、リーグ優勝に向かってひた走った巨人。この両者の目的意識の差がそのままCSの結果につながったと言えるだろう。

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