倍率605倍! 宝塚市長と採用担当職員が語る「氷河期世代採用」の大誤算

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 政府は今年6月、就職氷河期世代、いわゆる“ロストジェネレーション(ロスジェネ)世代”の支援を宣言した。3年間で正規雇用を30万人増やすというものの、行政の直接雇用は含まれていない。ならば我々が、と兵庫県宝塚市が立ち上がると、思わぬ事態に……。

 ロスジェネ世代とは、大卒なら37~48歳、高卒は33~44歳を指す。バブル崩壊後の1993年から2004年に学業を卒(お)え、厳しい不況に直面した世代だ。政府の方針はあれど、その動きが巷に浸透した感はない。そこで手を挙げたのが宝塚市。旗振り役は、中川智子市長(71)だ。

 宝塚市がロスジェネ世代を対象に募った事務職員は3名。そこに1816人の応募が殺到したのである。実に605倍。その倍率は、人気企業をゆうに超える。

「過去の新卒採用の経験から、応募は約500人と見込んでいたのですが……」

 とは、宝塚市の担当職員。

「応募者の内訳は男性962名、女性854名です。募集の年齢は国の基準に従い、35歳から45歳です。市長が7月1日に発表し、8月19日に募集開始、締切が30日でした。28日時点で700名ほどだったのが、最後の2日、29日と30日に千人以上の応募があり、急遽、1次試験会場を3カ所から10カ所に増やすことになったのです」

 応募者数の誤算で、上を下への大騒ぎだ。その騒動に触れる前に、採用に関する担当職員の説明を聞こう。

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