イギリスのEU離脱「ブレグジット」で日本が迫られる破滅的金融緩和

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 イギリスのEU離脱を巡って繰り広げられている「Brexit」騒動。“合意なき離脱”も辞さないとするボリス・ジョンソン英首相の言動に議会は反発し、4日の下院に続き6日には上院でも、EUとの離脱延期交渉を首相に義務付ける法案が可決されたのだ。

 ところが、

「ジョンソン首相に手詰まり感があるのは事実ですが、“離脱延期法”の効果も限定的。イギリスが離脱延期の交渉を持ちかけたところで、他のEU加盟国が承認しなければ、延期法も絵に描いた餅に終わる。ジョンソン氏が積極的に交渉を行うとは思えず、承認が得られないまま10月31日を迎えれば自動的に“合意なき離脱”です」(外信部記者)

 降りかかる厄災に頭を抱えるイギリスだが、我が国とて対岸の火事で済まされないのは、為替相場が海を越えて共鳴し合うから。

「もし合意なき離脱となれば、1ドル=90円台という円高に突入する可能性も否定できない」

 とは、シグマ・キャピタルの田代秀敏チーフエコノミストだ。

「11日にトランプが米連邦準備制度理事会にマイナス金利を要求したのに続き、12日には欧州の中央銀行が揃って利下げ。ただでさえ行き場を失ったマネーが円に集中しているのに、ここへイギリスの合意なき離脱というイレギュラーが加われば、さらに円高は加速するでしょう」

 日銀は追加の金融緩和も辞さない構えをとるが、

「そもそも日本は2016年からマイナス金利で、さらなる金利引き下げは体力の乏しい地銀・信金などにとって致命傷にもなりかねない。また、すでにETF(上場投資信託)やJ-REIT(不動産投資信託)の買い入れを行っている日銀が、個別株や不動産そのものといった“禁断の果実”に手を出すことも冗談とはいえなくなってくる」(同)

“exit”が見えないのは日本とて同じ、か。

週刊新潮 2019年9月26日号掲載

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