伊吹吾郎、熟年離婚していた…夫婦生活50年の「人生の苦楽」語る

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生活力があったから

 伊吹はこうも力説する。

「私は結婚して間もない頃から、ずっと撮影所のある京都に泊まり込む生活を続けていました。週末くらいしか東京の家に戻っていなかった。完全な別居生活も早10年の歳月に及んでいます。溝をつくってしまった原因は私にあり、彼女に寂しい思いをさせて申し訳なかったと思っていますが、2人の子供も大きくなって孫もできた。中途半端な関係はやめて、きちんとけじめをつけようと私から切り出したところ、彼女は同意してくれました。あ、私は今、一人暮らしで相手もいませんよ」

 そんなに“綺麗に”別離を遂げられるものなのか。

 伊吹はちゃんとした理由がある、と言うのだ。

「普段家にいない分、長女と長男の学校行事にだけは可能な限り出席しました。年に5、6回は仕事の合間を縫って行きましたかね。あと、子供たちの前で夫婦ゲンカも一切見せませんでした。もちろん、彼らも大きくなるにつれ、父母の関係が普通じゃないことに気付いていったでしょうが、夫婦仲が原因で不憫な思いをさせたことはないと思っています。だから、離婚を告げた際も“2人の人生だから好きにしていいよ”と言ってくれました」

 現在、日々の生活で特に困ったこともないと語る。

「家の中のことは妻に任せきりという男性は世に多いでしょ。で、いざ一人になるとパンツ一枚洗えずに、暮らしが荒れ果ててしまう。その点、私は京都での一人暮らしが長かったから、掃除、片付け、洗濯など家事が得意なんです。単身でも不自由せず楽しくやらせていただいています。ありがたいことにまだ役者としての仕事もいただけてますし、趣味でギターを弾く幸せな時間も愉しめております。老いに負けぬよう、週に2、3回はジムに通ってベンチプレスもやってますよ」

 悪くない選択だったか。

「熟年離婚には、なんだかんだものすごく精神力が要ります。奥さんと別れて一気に老け込む男性が多いのもわかります。私は離婚前の家族関係が険悪でなかったから、別れる際に抱え込むストレスが少なかった。あと生活力があった。これが大きいかな」

 人生に苦あり楽あり。心底そう実感しているようだ。

週刊新潮 2019年9月19日号掲載

ワイド特集「人生のバランスシート」より

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