神トカゲ! 発見された新種恐竜「むかわ竜」の学名が決定 名付け親が解説

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「むかわ竜」の学術名、カムイサウルス・ジャポニクスに

 北海道むかわ町で発見されたハドロサウルス類の恐竜「むかわ竜」が、新属新種の恐竜と認定された。これに伴い、正式な学名が「カムイサウルス・ジャポニクス(Kamuysaurus japonicus)」と決まった。

 日本国内で発見され、学名がついた恐竜は過去7種しかない。8番目となるカムイサウルスだが、全長8メートルにもなる大型恐竜であること、全身の8割以上の骨が見つかったことは国内初となる大快挙だ。まさに「日本一の恐竜化石」と言える。

 命名したのは北海道大学総合博物館の小林快次教授。じつはカムイサウルスが最初に発見されたのは今から16年前の2003年。むかわ町の化石収集家が尾の一部を発見し、小林教授が2011年に「恐竜の化石に間違いない」と鑑定した。それ以来、小林教授が大規模発掘調査の陣頭指揮を執ることになる。

 数々の偶然が重なって全身発見に至るまでのスリリングなドラマは、小林教授の著した『恐竜まみれ――発掘現場は今日も命がけ』にまとめられており、また発掘直後からカムイサウルスに他の恐竜には見られない固有の特徴がいくつも見られたことが明かされてもいる。

 そんな苦労の末にカムイサウルス・ジャポニクスという学名を発表した小林教授は、この名前に込めた意味と思いをこう語った。

「命名には、ずいぶん悩みました。カムイサウルス・ジャポニクスは、直訳すると『日本の神トカゲ』という意味ですが、私たちは『日本の恐竜の神』という思いを込めてこの名前をつけました。これまで日本から数多くの恐竜化石が発見されていますが、カムイサウルスは最も完全な骨格であり、日本を代表する恐竜となることから、この名前がふさわしいと考えたのです。

 恐竜化石は誰が見つけたか、掘ったかという話になりがちですが、一番大事なのは、その化石がその地域やその国の宝だということです。

 新種恐竜がむかわ町はじめ北海道の宝であり、日本の宝であること、そしてこの大きさと迫力はまさに『恐竜の神』と言えることを世界に伝えたいと思いました。そして欲を言えば、ぜひみなさんの目で見て体感してほしい」

 9月6日は、最大震度7を記録した北海道胆振東部地震から1年目にもあたる。

「今から約7200万年前、白亜紀後期に生きていたカムイサウルスは、長い時間をかけて化石になり、私たちの目の前に復活してくれました。この姿が、震災復興のシンボルになってくれたらと願っています」(小林教授)

 新種認定で、長期間にわたるカムイサウルス発掘と研究に一区切りをつけた小林教授だが、休む間もない。まもなく今シーズン「後半戦」の発掘調査地、モンゴルへ出発する。

デイリー新潮編集部

2019年9月6日掲載

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